2019 Fiscal Year Research-status Report
CD103+樹状細胞の腫瘍局在促進による抗腫瘍免疫増強
Project/Area Number |
18K14598
|
Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
守屋 大樹 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (30759759)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | CD103+樹状細胞 / KikGRマウス / 腫瘍免疫 / KikGR / フローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍浸潤CD103+樹状細胞の中には、リンパ節に移行し、抗原提示により細胞傷害性T 細胞(CTL)を誘導する細胞に加え、腫瘍に留まりCTLに抗原提示をする細胞も存在することが示唆されている。 本研究は腫瘍に「留まる」細胞が利用する分子メカニズムを解明し、留まる分子を利用したCD103+樹状細胞の腫瘍局在促進により抗腫瘍CTLへの抗原提示促進を試みる。 腫瘍内ではCD103+樹状細胞のみが、紫色光照射により緑(KikGR-Green)から赤(KikGR-Red)に変換する光変換タンパク質KikGRを発現するXCR1-KikGRマウスに形成した腫瘍塊に光照射を行った。光照射24, 48, 72時間後に腫瘍から細胞を回収し、フローサイトメトリー法にて解析を行ったところ、全てのタイミングでKikGR-Red細胞が検出された。このため、72時間以上腫瘍に留まるCD103+樹状細胞が一定数存在することが明らかとなった。 XCR1-KikGRマウスの繁殖に時間を要したため、全ての細胞がKikGRを発現するKikGRマウスに形成した腫瘍に紫光照射を行い、24時間後に腫瘍塊に留まったKikGR-Red細胞とKikGR-Green細胞を分取し、シングルセル遺伝子発現解析を行った。インテグリンαE(CD103の別名)、CD11c(樹状細胞のマーカー)遺伝子の発現を指標に、KikGR-Red CD103+樹状細胞に特徴的に発現する遺伝子の抽出を試みたが、今回行った解析のリード数では抽出できなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腫瘍に「留まる」CD103+樹状細胞が腫瘍への局在に利用する候補分子についてできていない。しかしながらXCR1-KikGRマウスの繁殖状況が改善し、遺伝子発現解析に用いるのに十分な個体数を確保できつつあるため、次年度はXCR1-KikGRマウスを用いて解析を行う予定である。また、昨年度に腫瘍内での抗原特異的CTLの検出および抗原提示についての解析システムは確立済みため、「留まる」細胞に特徴的に発現する分子を絞り込み次第、抗原提示の解析を行うことが可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
腫瘍内ではCD103+樹状細胞のみがKikGRタンパク質を発現するXCR1-KikGRマウスに形成した腫瘍からKikGR陽性細胞のみを回収する。複数のマウスおよび腫瘍から回収した細胞をまとめることで比較解析に十分な細胞数を確保し、遺伝子発現解析に用いる。また、光照射72時間後まで腫瘍に留まった細胞を解析に用いることで、より長期間腫瘍に留まった細胞に絞り込むことで腫瘍に留まりやすい性質を持つ細胞に絞りこんで遺伝子発現解析を行う予定である。所属リンパ節に移行したKikGR-Red細胞と比較して腫瘍内に留まった細胞で特徴的な分子(ケモカイン、インテグリンを想定)を絞り込む。そしてフローサイトメトリー法により選出した分子のタンパク質発現解析を行う。腫瘍内KikGR-Red CD103+樹状細胞にタンパク質レベルで高発現の認められた分子に対して、中和抗体やアンタゴニストによるブロッキングを試み、局在阻害を指標に腫瘍内で局在する分子の同定を行う。 前駆細胞から分化誘導したCD103+樹状細胞を、上記で同定した局在に関連する分子の発現の有無で各々ソーティングし、本研究で用いている腫瘍発現タンパク質(OVA)を加えて培養後、各々を腫瘍内に移入する。局在に関連する分子を発現するCD103+樹状細胞の移入群では非発現細胞移入群と比較して腫瘍内の腫瘍抗原特異的CTLの増殖がより促進されることを示し、局在に関連する分子を発現するCD103+樹状細胞移入が抗腫瘍免疫を増強しうることを証明する。
|
Causes of Carryover |
網羅的遺伝子発現解析を行うにあたり使用を計画していたマウスの繁殖、個体数の確保がうまくいかなかった。このため今年度実施を予定していた解析を次年度に延期するため。また、新型コロナウイルス感染拡大対策のため、所属機関外での研究の実施を延期したため。
|