2018 Fiscal Year Research-status Report
ジカウイルス受容体の網羅的探索とモデル動物における病原性発現機構解析の新展開
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18K14599
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
谷口 怜 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (60734465)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジカウイルス / CRISPR / CRISPR-Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における目的の一つはジカウイルスの新規受容体の同定であり、その方法としてCRISPRライブラリーを用いて受容体候補を網羅的検出する予定である。 そこで2018年度ではCRISPR-Cas9システムを用いた網羅的検出法の実施に必要となるCas9恒常発現細胞の樹立を目指した。293T細胞にレンチウイルスベクター用プラスミド(pMDLg/pRRE, pMD2.G, pRSV-Rev)およびブラストサイジン、Cas9の遺伝子をもつレンチウイルス搭載用プラスミド(lenti-Cas9-Blast)をトランスフェクションし上清を回収、Cas9発現用レンチウイルスを作製した。 Cas9発現用レンチウイルスを種々のヒト由来培養細胞株へ感染した。その後、薬剤存在下、Cas9発現細胞を選択、クローニングを行なった。その結果、293T細胞、A549細胞、IMR-32細胞、SK-N-SH細胞、HTR-8/SVneo細胞、HeLa229W細胞でブラストサイジン存在下での培養で細胞の生存が確認され、クローニングに成功した。また、現在Huh7細胞のクローニングを実施中である。 クローニングまで終了した細胞株に対しては抗Cas9抗体を用いたウエスタンブロット法を行い、Cas9タンパク質の発現を確認した。 今後これらの細胞に対してCRISPRライブラリーのsgRNAを保持したレンチウイルスを感染させ、細胞遺伝子にランダムな変異を導入、株種の異なる4つのジカウイルス(MR766株、PRVABC59株、NIID123株、Chiba株)を感染させる予定である。感染後生存した細胞コロニーにおける遺伝子変異導入部分を同定し新規受容体の同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度はCas9発現ヒト由来細胞株の樹立まで行なった。当初の予定ではCRISPRライブラリーのsgRNAを保持したレンチウイルスを感染させ、細胞遺伝子にランダムに変異を導入、ジカウイルスの感染まで今年度中に行なっている予定であった。今後、本研究課題の期間の間に受容体の同定、さらにその受容体とウイルスタンパク質側の相互作用の解析まで行うことを考えるとやや遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
Cas9を発現した293T細胞、A549細胞、IMR-32細胞、SK-N-SH細胞、HTR-8/SVneo細胞、HeLa229W細胞に対してCRISPRライブラリーのsgRNAを保持したレンチウイルスを感染させ、細胞遺伝子にランダムな変異を導入する。 ジカウイルス(MR766株、PRVABC59株、NIID123株、Chiba株)を感染させ、感染後生存した細胞コロニーの遺伝子解析を行う予定である。遺伝子変異導入部分を同定し、ウイルス感染に必須な宿主因子(新規受容体)の同定を行う予定である。同定に成功した場合、その立体構造がすでに報告されている場合はウイルスタンパク質との相互作用のin silico解析を行う。また、細胞株においてこれらのタンパク質の過剰発現および発現抑制を行い、ジカウイルス感染の変化を観察する。
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Causes of Carryover |
研究進捗がやや遅れた分、試薬、消耗品の購入量が減少し次年度使用額が生じた。2019年度に試薬、消耗品の購入に用いる予定である。
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