2018 Fiscal Year Research-status Report
Uncovering the transcriptional networks governing oogenesis
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18K14605
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜崎 伸彦 九州大学, 医学研究院, 助教 (10757008)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵母細胞 / 転写ネットワーク / in vitro oogenesis / RNA-seq / 卵子 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵母細胞は単一細胞からの個体発生能を有する唯一の細胞種であり、全ての多細胞生物の生命サイクルにおける根源的な細胞である。この卵母細胞は始原生殖細胞から段階的に分化するが、この分化過程のいずれが破綻しても不妊となってしまう。従って、不妊の原因解明と改善のためには、卵母細胞という特殊な細胞がどのように形成されるのかを明らかにすることが必要である。 しかしながら、これまでに、卵母細胞分化過程は胎児体内で進行することから、その全容解明は困難を極めた。そこで、申請者は ES細胞から卵母細胞分化を全て体外で再現することに挑戦し、試行錯誤の末、完全in vitro条件下でES細胞から機能的な卵を作製することに成功した (Hikabe, Hamazaki et al., 2016, Nature)。この系の完成をもって、卵母細胞形成の分子実体解明への挑戦を開始した。 まず申請者は、「生殖細胞はいつ生殖細胞が卵母細胞に分化しているのか」、という問いに取り組んだ。そのために、卵形成過程の各ステージの遺伝子発現プロファイルを調べたところ、未成熟卵母細胞である原始卵胞卵期と成長中卵母細胞である二次卵胞卵期の間で、生殖細胞―卵母細胞分化が完遂することを見出した。驚くことに、この運命転換はたった2日で起こっていた。これまでに卵母細胞は数ヶ月をかけて段階的に分化するとされていたが、実のところ、たった2日がターニングポイントであったわけである。 そこで、この運命転換 (Maternal Genome Activation: MGA)期に特異的に出現する、27遺伝子から成る転写ネットワークを抽出し、遺伝子改変が容易なES細胞由来であるという利点を活用し、網羅的に遺伝子機能解析を行うことで、MGAの駆動因子として、8遺伝子を同定することに成功した。現在、これまでの知見をまとめ、論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本申請の最大目標であった、「生殖細胞はいつ生殖細胞が卵母細胞に分化しているのか」という問いに対して、未成熟卵母細胞である原始卵胞卵期と成長中卵母細胞である二次卵胞卵期の間で、生殖細胞―卵母細胞分化が完遂するという答えを出すことができた。さらにその運命転換に必要な8因子の同定にまで至ったことは想定以上の進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究をまとめ、論文投稿を進める。その一方で、これほどまでに劇的な転写プロファイル転換を実現しているメカニズムは依然として不明なため、解明を進め、どのように卵母細胞という特殊な細胞ができるのかを明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
想定以上にスムーズに仮説検証が進み、物品費を低く抑えることに成功した。また、次年度に論文投稿を控えているため、今年度は学会参加を控え、旅費支出を減らした。翌年度は論文投稿とそれにかかる実験費用の増大が見込まれ、かつ情報公開のための学会参加を積極的に行うため、それらにかかる費用を重点的に計上する。
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Research Products
(2 results)