2019 Fiscal Year Annual Research Report
A survey for Rat polyomavirus 2 in laboratory rats in Japan
Project/Area Number |
18K14610
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田中 美有 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特任助教 (00756893)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラットポリオーマウイルス2 / 実験動物 / 感染症 / 病理学 / 免疫不全ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年、免疫不全症ラット(XSCID-TALENラット)のRat polyomavirus 2(RatPyV2)感染症が報告された。RatPyV2は免疫正常個体では不顕性感染するが、日本で研究に利用される免疫正常ラットコロニー中にも、すでに一定の割合で浸潤していると懸念される。本研究では、 免疫不全系統でのRatPyV2感染症の詳細な病変評価と、日本の免疫正常ラットコロニーでのRatPyV2の汚染状況調査を目的とした。 (1) XSCID-TALENラットの唾液腺、ハーダー腺、眼窩外涙腺、呼吸器および生殖器/副生殖器では、過形成または異形成を呈する上皮細胞に好塩基性核内封入体が認められた。特に耳下腺では、1ヶ月齢の時点で広範囲に重篤な病変がみられた。口腔内スワブサンプルを用いたPCR検査(Amp-FTA法)では、検索した全症例でRatPyV2遺伝子が検出された。 (2) 血清検査では、調査した111匹の免疫正常ラットのうち43匹が陽性(陽性率38.7%)であった。PCR検査では、80匹の免疫正常ラットのうち35匹が陽性(陽性率43.8%)であった。これらRatPyV2陽性ラットでは、肉眼的・病理組織学的には明らかな異常は検出されなかった。 (3) XSCID-TALENラットの口腔内スワブを用いたLAMP法にて、RatPyV2遺伝子の増幅が確認された。引き続き、免疫正常ラット検体での検索を検討中である。 以上の結果より、RatPyV2は、唾液腺に対する親和性が特に高く、本感染症が疑われた際には、耳下腺を含む唾液腺組織を用いた検索が必須と考える。また、日本の免疫正常ラットコロニー中にも、RatPyV2不顕性感染個体が一定の割合で存在することを明らかにした。さらに、本感染症の簡便・迅速な診断法として、口腔内スワブを用いたAmp-FTA法やLAMP法が有用である可能性を初めて示した。
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Research Products
(2 results)