2018 Fiscal Year Research-status Report
精子と卵子の融合におけるSOF1の生理学的機能の解明
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18K14612
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野田 大地 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50712551)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精子 / 受精 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、データベースから特に精巣で発現する遺伝子を選び、CRISPR/Cas9システムを用いて遺伝子欠損(KO)マウスを10系統以上作製した。その中で、本研究課題ではsperm oocyte fusion (Sof)1の解析を行った。
【Sof1の発現パターンの解析】マウスの心臓、肝臓、脾臓、腎臓、脳、胃、腸、精巣、卵巣、子宮を採取し、それぞれの組織からTotal RNAを抽出した。得られた各組織由来のTotal RNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、PCRを行ったところ、Sof1は精巣で特異的に発現していた。 【Sof1 KOマウスの表現型解析】(1)KOマウス作製:Sof1の開始コドンと終止コドンの付近にguide RNAを設計した。標的配列をCas9発現プラスミドに挿入し、ES細胞にトランスフェクションしたところ、48クローン中17クローンでSof1のコーディング領域が欠損していた。染色体数が正常なES細胞クローンを8細胞期胚へ注入し、キメラマウスを作製した。得られたキメラマウスを交配させて、KOマウスを得た。(2)KOマウスの妊よう性:KOメスの妊よう性は正常だったが、KOオスと交配した野生型メスからは産仔が得られなかった。(3)表現型解析:KOオスと交配したメスの卵管から卵を回収したところ、受精卵は得られなかった。詳細に観察したところ、KO精子は囲卵腔に溜まっていた。以上からKO精子は融合不全を示すことがわかった。(4)抗体作製:マウスSOF1のペプチドを抗原としてウサギに免疫し、ポリクローナル抗体の作製を試みた。得られた抗体を用いて、ウェスタンブロティングや免疫染色を行ったが、特異的なシグナルは得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記入した研究計画通りに研究を遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Sof1のコーディング領域をpETベクターやpGEXベクターに組み込み、大腸菌(BL21株)に導入して、SOF1タンパク質を発現させた。今後、精製SOF1タンパク質をウサギやKOメスマウスに免疫して抗体作製を行う予定である。精巣や精子からタンパク質を抽出し、作製したSOF1抗体を用いて共免疫沈降物を得る。既知の融合必須因子(IZUMO1やSPACA6)だけでなく、LC-MS/MS解析により、相互作用する新規分子を調べる。ヒトや家畜のSOF1のコーディング領域をカルメジンプロモーター直下に挿入して、制限酵素により直鎖DNAフラグメントを得る。そのDNA断片を、体外受精により得たKO受精卵の前核に注入して、トランスジェニック(TG)マウスを作製する。そのTGマウス由来の精子の融合能力を調べる。
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Research Products
(8 results)