2020 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム安定性制御による逆位ヘテロ接合体の出生前治療の基盤構築
Project/Area Number |
18K14616
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
岩田 悟 中部大学, 実験動物教育研究センター, 助教 (70722891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 染色体工学 / 染色体逆位 / 不均衡型染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
逆位ヘテロ接合体 (In/+) は減数分裂の過程で形成されるループ構造内で組換えが起こることにより無動原体や二動原体などの不均衡型の染色体異常が生じる。そのため、In/+は配偶子の形成不全や先天異常につながる可能性が無視できない染色体異常と考えられる。しかしながら、In/+保因者から派生する不均衡型染色体を抑制する手法は未だなく分子機序も不明な点が多い。 本研究では、不均衡型染色体を抑制する基盤を構築すべく、(1)ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いて不均衡型染色体を蛍光標識可能なIn/+モデルマウスを作製する。(2) (1)のモデルにおけるゲノム安定性の異常が不均衡型染色体の派生に影響するかを遺伝学的に解析し、不均衡型の惹起に関与する分子を見出す。 最終的に、関与分子をin vivo電気穿孔法で一過性に強制発現することで不均衡型染色体の抑制効果を検討し、In/+に対する治療基盤の構築に貢献することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、電気穿孔法を用いたゲノム編集技術による染色体改変法を立ち上げ (Iwata et al., Sci. Rep. 9:14713, 2019)、ゲノム安定性の異常が不均衡型染色体の派生にどう影響するかを評価している。 2020年度は、不均衡型染色体を蛍光標識できるIn/+モデルマウスを開発し、その性能を確認する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて緊急事態宣言が発令されたことにより6月まで動物実験が制限され、当初の想定通りに研究を進めることができなかった。さらに、モデルマウス開発のために用いるマイクロインジェクターが故障し、数ヶ月間研究できない状況が生じた。そのため、現在「やや遅れている」と判断した。 ただし、緊急事態宣言下に着想したIn/+マウスを用いた新規ゲノム編集法の開発に成功しており、研究成果を国際学術誌に投稿している (Iwata et al., In Revision)。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム不安定性により染色体構造異常を惹起するリスク分子のノックアウト系統 (作製済み) を用いることにより、In/+マウスにおける不均衡型染色体の派生に及ぼす影響を遺伝学的に解析し、不均衡型染色体の派生に与える影響を評価する。また、ゲノム編集技術を用いて不均衡型染色体を蛍光標識できるIn/+モデルマウスの樹立にも引き続き取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度の研究が緊急事態宣言により一定期間の停止を余儀なくされた結果、消耗品の支出が予定より少額となり物品費を繰越すこととなった。2021年度は、現在投稿中の論文で査読者から指摘された点を補完する実験に物品費を使用することに加え、当初計画していた実験に物品費を充てる。
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