2018 Fiscal Year Research-status Report
擬似常染色体領域を用いた新規人工染色体導入マウスの作出と、その繁殖効率の解析
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18K14617
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉村 祐貴 鳥取大学, 医学部, 助教 (50771242)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子改変マウス / 疑似常染色体領域 / 染色体転座 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、減数分裂において不安定である極小化した染色体に疑似常染色体領域(PAR)を挿入した際に、PARがその極小染色体の安定性に有利に機能するか検証することである。PARをCre/loxPシステムにより極小化したマウス染色体にクローニングすべく、平成30年度はPARの上流にloxPを挿入したノックインマウス(loxP-PARマウス)の作製を行った。PARは性染色体の長腕末端に存在しており、その領域は約700kbpに及ぶ。X染色体に存在するPARの上流はMid1遺伝子のIntron3にあると報告されていることから、ゲノム編集技術を用いてその部位にloxP配列を挿入し、loxP-PARマウスの作製に成功した。次に、PAR領域をクローニングする極小染色体の作製に着手した。現在、マウス染色体のセントロメア近傍にloxP配列をノックインしたマウスの作製を行っている。すでに作製が完了したloxP-PARマウスと、新たに作製する遺伝子改変マウスとを用いて、PARを持つ極小染色体を作製し、減数分裂過程におけるその染色体の動向や、子孫伝達効率の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、loxP-PARマウスの作製が完了した。当初はES細胞を用いたノックインを予定していたが、ゲノム編集技術によりマウス受精卵を用いたノックインに成功したため、予定した作製期間を大幅に短縮することができた。しかしながら、転職により研究環境が変化したため、その後の研究計画の変更を要した。よって、新たに遺伝子改変マウスを1系統作製することで、現在の研究環境においても目的を果たせるよう、研究計画を修正した。すでに、ゲノム編集技術を用いた新たな遺伝子改変マウスの作製に着手しており、当初の予定に変更が生じたものの、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、新たにノックインマウスを1系統作製する予定である。すでにゲノム編集技術を用いた遺伝子改変マウスの作製が進行中である。このノックインマウスの作製が完了次第、PAR-loxPマウスと交配し、Cre/loxPシステムを用いて疑似常染色体領域を極小化したマウス染色体に転座させる計画である。この転座染色体を保持するマウスを用いて、転座染色体の子孫伝達効率や、減数分裂の各ステージにおける動向を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は転職に伴う実験計画の修正により、次年度使用額が生じた。これは、次年度に新たに計画した遺伝子改変マウスの作製に必要な物品費に充てる予定である。
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