2019 Fiscal Year Research-status Report
本態性高血圧発症への頚動脈小体由来ノルアドレナリンの役割
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18K14619
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
加藤 弘毅 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 動物実験施設, 助教 (30771026)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 頚動脈小体 / 低酸素 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、本態性高血圧症発症に対する頚動脈小体由来ノルアドレナリンの役割を解明することを目的としている。 本年度は、二酸化炭素濃度の異なる3種類の低酸素ガスを正常血圧ラットに吸入させ、持続的低酸素が誘起する呼吸循環応答への二酸化炭素の作用を検索した。ラットは、Hypocapnic Hypoxia群(HypoH、10%O2)、Isocapnic Hypoxia群(IsoH、10%O2+4%CO2)、Hypercapnic Hypoxia群(HyperH、10%O2+8%CO2)に分け、低酸素ガスを2時間吸入させた。各群の暴露前の平均血圧は80-90mmHgであり、HypoH群では暴露により有意に減少し低値を維持したが(53.0±2.7mmHg、p<0.05)、HyperH群では暴露前と同程度で推移した(91.5±4.3mmHg)。心拍数は、暴露前は380-400bpmであり、HypoH群では暴露後増加、減少、再増加という経時変化を示したが、HyperH群では増加後に暴露前と同程度を維持した(407.1±7.8bpm)。分時換気量は、暴露前は440-500mL/min/kgであり、HypoH群では暴露により有意に増加したが(680.8±41.0mL/min/kg、p<0.05)、HyperH群では増加の程度はより大きく、1,060.5±72.2mL/min/kgであった(p<0.05)。この分時換気量増加には、HypoH群では呼吸数増加が寄与しており、HyperH群では一回換気量増加が寄与していた。IsoH群は、HypoH群とHyperH群の中間の変化を示した。以上の結果から、二酸化炭素は、低酸素による循環抑制を無効化する一方で、換気増加をより強めることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の頚動脈小体のVMAT局在に関する研究成果は、学術雑誌に掲載が受理された。また、今年度の研究成果は、現在学術雑誌に投稿準備中である。一方、これまで得られた研究成果は正常血圧動物のものであり、高血圧モデルを用いた解析を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、高血圧自然発症ラットや食塩感受性高血圧ラットを用いた組織学的・生理学的解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
物品費の残額が生じたため、次年度の物品費に使用する。
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Research Products
(2 results)