2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analysis of endothelin receptors in complex with G-proteins
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18K14634
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志甫谷 渉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (30809421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GPCR / Cryo-EM / PACAP / エンドセリン |
Outline of Annual Research Achievements |
エンドセリン受容体B型については、B型選択的作動薬や部分作動薬、逆作動薬との複合体を網羅医的に構造決定し、3報の論文として報告した。G蛋白質との複合体の構造解析に向けては、受容体とGi蛋白質との複合体形成に成功しているが、精製した受容体の一部のみが複合体を作るいとどまっており、複合体形成条件の検討中である。そこで、他のGPCRであるPAC1受容体に着目し構造研究を進めた。PAC1受容体(は中枢神経系および末梢組織に広く存在するGPCRであり、PAC1受容体選択的な内在性ペプチドPACAP(により活性化される。PAC1受容体は摂食制御、糖代謝、精神疾患、涙液分泌などにおいて重要な役割を果たしており、有望な創薬標的として研究されてきた。しかしPAC1受容体の立体構造が未知であるため、医薬品開発が妨げられていた。そこで、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析によって、PACAP、ヒト由来PAC1受容体およびGsタンパク質からなるシグナル伝達複合体の立体構造を試みた。ヒト由来PAC1受容体を昆虫細胞に発現させて精製したあと、安定化された小型Gs蛋白質と混合したところ、受容体が完全にGsと結合することが分かった。複合体をゲルろ過クロマトグラフィーによって精製後、グリッドに凍結して、クライオ電子顕微鏡による観察と単流解析によって分解能3.9オングストロームで構造を決定した。複合体構造からは、PAC1受容体によるPACAPの認識機構の詳細が明らかになった。構造とそれに基づいた機能解析によって、PAC1受容体の細胞外ドメインはPACAPの効率的な受容には必要である一方で、受容体の活性化には必須でないことを明らかにした。
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