2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲル内結晶化法を応用した新しい作用機序のプロテアソーム調節薬剤の開発
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18K14637
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 賢治 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (90647322)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲル内結晶化 / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロテアソーム機能調節薬剤の開発を目指し、初年度は難水溶性化合物との複合体構造決定を可能にするゲル内結晶化法の開発に取り組んだ。まず、プロテアソームのゲル内結晶化条件の検討(pH, ゲル濃度、沈殿剤濃度、サンプル:リザーバー比)を行い、物理的強度が向上したゲル内結晶を得た。プロテアソームの機能を調節する化合物のDMSO溶液にこの結晶を浸漬した結果、既存の化合物(MG132)ではプロテアソームとの複合体構造解析が可能であった。このことから、DMSOを含んだバッファでの浸漬に耐えうる結晶が作製できたといえる。しかし、高濃度のDMSO溶液にしか溶解しない化合物の浸漬による構造解析では、結晶構造は決定されたものの化合物との複合体構造は得られなかった。化合物の濃度が不十分であり複合体形成が行われなかったと考えられる。 ゲル内結晶化条件の検討をする上でプロテアソームは大量調整が困難であるため、高収量の代用サンプルを使用して、簡便に条件検討可能なタンパク質の検討を行った。プロテアソームの形成に関与するシャペロン分子はプロテアソームの複合体形成に影響し結果として細胞内のプロテアソームの活性に関与する。このためプロテアソームシャペロンは本研究の目的に合致していることから、ゲル内結晶化を目指し、まずゲルを含まない溶液状態での結晶化条件検討を行った。条件検討の結果、構造決定が可能な結晶は得られたが、浸漬実験可能な大きさの結晶は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の化合物を用いた、プロテアソームゲル内結晶化及び化合物との複合体構造決定に成功した。また、より広範なゲル内結晶化条件検討を可能にするための代替サンプルの結晶化条件の決定及び構造解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、より難水溶性な化合物との複合体構造解析が可能なゲル内結晶化条件の検討を進めるとともに、当初目的としていた難水溶性化合物を用い、別の構造解析方法(電子顕微鏡法など)による複合体構造解析にも取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
使用計画作成時にはゲル内結晶化方法の検討を広範に行う予定であったが、化合物を含んだ結晶構造が得られたため、条件検討のために計上していた予算が残った。次年度は高いDMSO濃度でしか溶解しない化合物での検討を、実験条件を広げて行う予定であり、また研究代表者の異動により、年度内に行っていた実験と同等の実験を次年度も進めていく必要があるため、当初の計画通り(初年度の残額+次年度予定していた額を合わせた額)の使用額を計上した。
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