2019 Fiscal Year Research-status Report
ゲル内結晶化法を応用した新しい作用機序のプロテアソーム調節薬剤の開発
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18K14637
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
高木 賢治 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 講師 (90647322)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲル内結晶化 / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プロテアソームと難水溶性化合物の複合体構造解析を目指しており、本年度は高収量の代用サンプルを使用して、簡便にゲル内結晶化条件の検討可能なタンパク質の探索を行った。VCPは20Sプロテアソームと結合することが報告されているAAA型分子シャペロンであり、創薬標的として化合物の探索が行われている。VCPを用いたゲル内結晶化を目指し、まずゲルを含まない溶液状態での結晶化条件検討を行った。条件検討の結果、X線回折像が得られる結晶が得られた。しかし、高分解能かつ浸漬実験可能な大きさの結晶は得られていないため、現在結晶化条件の検討中である。 前年度より行っていた、20Sプロテアソームと難水溶性化合物との複合体構造解析では、クライオ電子顕微鏡法を使用した構造解析を進めた。その結果、単独状態および化合物との複合体構造をそれぞれ3.0、3.1オングストローム分解能で構造決定した。これらの構造を比較し化合物の結合部位を探索したが、この分解能では化合物の結合および化合物の結合による顕著な構造変化は観察できなかった。 また、VCPはゲル内での結晶化と共にクライオ電子顕微鏡による観察のため、条件検討を行い、ネガティブステイン法によるサンプルの状態確認を現在までに済ませた。研究開始当初考案していたゲル内結晶化は、アガロースゲルを作成後、タンパク質結晶化サンプルを湿潤させてゲル内に結晶を作製する方法も検討しており、数パーセント濃度のアガロースゲル条件では作製可能であることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代用サンプルを用いた立体構造解析は順調に進んでいる。また、ゲル内結晶化についても、当初より条件を広げて検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、難水溶性化合物との複合体構造解析が可能なゲル内結晶化条件の検討を進めるとともに、当初目的としていた難水溶性化合物を用い、電子顕微鏡法など他の構造解析法を取り入れながら目的の達成に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
計画二年目は研究代表者の異動により、初年度に行っていた実験と同等の実験を進める必要があったため、当初の計画通りの使用額を計上したが、異動先の装置の設置状況などを踏まえ、計画当初の年間使用額程度に収まった。次年度は構造解析、結晶化条件など検討事項が広範化するため、計画当初の使用額(計画2年目の残額+次年度予定していた額を合わせた額)を計上した。
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