2021 Fiscal Year Research-status Report
XFEL単粒子回折画像処理と三次元生体分子構造の復元
Project/Area Number |
18K14642
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中野 美紀 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (40625894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線自由電子レーザー / 単粒子解析 / 画像解析 / コヒーレントX線イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
高輝度・高コヒーレント・極短パルス長を持つX線自由電子レーザー(XFEL)は、ナノスケールの分子構造をを結晶化することなく、自然に近い状態で観察することができる新しい手法である。XFEL単粒子解析は、数十nmから数μmまでの幅広いターゲット分子サイズに適用できる。電子顕微鏡では、多重散乱のため厚さ500nm以上の分厚い粒子の内部構造の観察は難しいが、X線の高い透過力を活かせば、切片化などの作業なしに観察することが可能である。 しかし、大きいサイズの分子をどのくらいの解像度で観察できるのか、これまで定量的には調査されていない。大きな、または高密度の分子からは、分子構造復元に必要なより多くの散乱光子を得ることができる。ただし、大きな分子の構造情報を高解像度で復元するには、波数空間での大量の情報が必要になる。 これまでに、さまざまなサイズのウイルスの構造解析がXFEL単粒子解析を用いて試みられている。ただし、これらの実験で用いられたXFELパルスの強度やエネルギー、構造解析に使用される回折パターンの数は大きなばらつきがあり、これらの結果を単純に比較することはできない。 本研究では、XFEL単粒子解析により復元された構造の解像度が同じ実験条件で分子サイズにどのように依存するかを明らかにすることを目的とする。比較のために非対称構造を持つ約20nmから120nmまでのサイズの異なる5つの生体分子を選択した。シミュレーションを用いて、これらの分子にXFELパルスを照射して得られる2次元回折パターンを作成した。作成した2次元回折パターン、およびこれらを用いて復元した3次元回折強度分布の特性、スライスマッチングによる推定角度誤差、および復元された分子構造の解像度などを比較した。本研究結果は、実験計画とターゲット分子の選択において有用な指針を与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で共同研究者との連絡が滞っているため
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Strategy for Future Research Activity |
データはほぼ出そろっている。早急に論文にまとめ、学会報告を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会等に現地参加できなかったため。 次年度使用額は、学会参加費用として使用予定。
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