2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis of the inhibition of eIF2B under stress
Project/Area Number |
18K14644
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柏木 一宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (60732980)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 翻訳調節 / 翻訳開始 / クライオ電子顕微鏡 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間全体を通じて、X線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡による単粒子解析によってさまざまな状態のeIF2B-eIF2複合体の構造解析を行い、eIF2のリン酸化によるeIF2Bのヌクレオチド交換活性の阻害機構、また薬剤による阻害の阻止機構についての解明を行った。 その結果、非リン酸化eIF2とリン酸化eIF2はそれぞれeIF2B上の全く異なる部位に結合しており、リン酸化eIF2の結合様式はリン酸化eIF2自身に対する交換反応を阻害するだけでなく、他の非リン酸化eIF2分子がeIF2Bへ結合することも阻害するものであることが示唆された。また、eIF2上のリン酸化残基自身はeIF2Bに直接的には認識されておらず、リン酸化に伴うeIF2分子内の相互作用の変化がeIF2Bによって認識されていることが明らかにされた。 また、eIF2B-リン酸化eIF2複合体のさらなる解析によって、リン酸化eIF2による阻害状態の複数の構造を得ることに成功した。こうした複合体構造の比較からは、リン酸化eIF2の結合に伴ってeIF2Bのサブユニットの相対的な配置に変化が生じることなど、eIF2B活性阻害の分子機構に関してより詳細な知見が得られた。また、このサブユニットの配置変化はリン酸化eIF2による阻害を抑制する薬剤ISRIBの結合ポケットの形状にも影響を及ぼしていた。これらのことから、リン酸化eIF2とISRIBはeIF2Bへの結合に関してアロステリックに拮抗していることが明らかにされた。 最終年度はこのISRIBの新規作用機序に関する論文の誌上発表を行った。さらに、eIF2Bに結合してリン酸化eIF2によるeIF2B活性の阻害を阻止するウイルスタンパク質について発現と精製を行い、eIF2Bとの複合体のクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析を行った。
|