2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化マーカーp16INK4aの発現誘導に関わる遺伝子の網羅的同定
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18K14648
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 翔太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (00728941)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA 損傷等のストレスにより、細胞周期が不可逆的に停止することを、細胞老化という。細胞老化は、もともと、培養細胞において発見された現象であるが、最近では、加齢に伴う何らかのストレスにより個体内でも起こり、個体老化に促進的に働くことが明らかになってきた。細胞老化において中心的な役割を担うのが、サイクリン依存性キナーゼ(CDK) 阻害因子p16INK4aである。16INK4aの発現は、通常、ヒストンのメチル化(H3K27me3) を介して抑制されているが、細胞がストレスに曝されると、この抑制が解除され、細胞老化が引き起こされる。p16INK4aを発現した老化細胞を、薬剤投与により死滅できるようにした遺伝子改変マウスにおいては、心臓や腎臓の加齢に伴う機能低下が緩和され、寿命が延伸する。また、p16INK4aをコードするINK4/ARF領域は、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病といった老化関連疾患のリスク要因となる一塩基多型が、最も集中するホットスポットである。本研究では、DNA損傷によるp16INK4aの発現誘導に必要な遺伝子を網羅的に同定するために、ヒト正常細胞を用いたゲノムワイドsiRNAスクリーニングを行った。細胞老化に必要な遺伝子を、ゲノムワイドsiRNAスクリーニングにより探索した研究は、これまでに報告がない。このため、本研究では、新規の細胞老化シグナル伝達因子の同定による、p16INK4a発現誘導メカニズムの解明が期待できる。本研究は、個体内での細胞老化の原因を探る上でも、有用な知見を与える可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ゲノムワイドsiRNAスクリーニングを実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングで得られた遺伝子群を対象に、p16INK4aの発現誘導や細胞周期の停止における必要性を確認するとともに、その機能を、質量分析法による結合タンパク質の同定やモノクローナル抗体の作成といった、シグナル伝達研究の手法を活用しながら解析する。
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Causes of Carryover |
消耗品の金額が想定を下回ったため。
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