2018 Fiscal Year Research-status Report
構造と機能の両立を目指した新規ヘム結合蛋白質の計算設計と実験的検証
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18K14660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森脇 由隆 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70751303)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質デザイン / ヘムタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において機能性を持つタンパク質のデザインについて、まずタンパク質モデリングソフトウェアRosettaに組み込まれているフラグメントデータベースが2011年で更新が止まっていることを考慮し、フラグメントアセンブリ手法の理解とともにフラグメントデータベースを自作する方法を確立し、これを2018年9月次点で最新のものに更新することができた。続いて、近年急激にタンパク質構造予測手法の中で台頭してきた、「共進化情報を用いたコンタクトマップの予測手法」を実装した。これについては構造既知タンパク質の小さめな代表的な構造ドメインに対して処理を行い、再現が可能かどうかを検討した。また、コンタクトマップの予測手法で得られたアミノ酸ペア間に距離拘束を適用しながらRosettaのフラグメントアセンブリ手法を組み合わせると、これまで収束がとても遅かった100アミノ酸以上のタンパク質のフォールディングが現実的な時間内で収束するようになり、本研究課題の遂行に十分役立つということを確認した。こうした一連の流れをパイプライン化し高速に実行できるようシステム環境を整えた。 ヘム結合部分についての設計の理解を深めるために、量子化学計算を用いていくつかの既知のヘム結合モチーフの構造最適化を行い、各種残基の位置関係や距離・角度情報をライブラリ化した。特に、ヘム輸送機能を持つタンパク質ドメインであるNEATドメインについては既知の構造について計算をすべて行い、データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実質的に主体となって取り組むべき他の研究課題を優先的に処理するよう指示があったことから、半年以上をそれに費やしていたため、当該研究課題の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
人工的なタンパク質の創出に向けて大きな空隙を持つ足場タンパク質をつくるために、コンタクトマップをベースとしたタンパク質再現手法に取り組む。現在は2018年のNIPS論文を改良し、論文に使われていたものより改良されたGANのアルゴリズムを使って自然に存在しないコンタクトマップの生成手法に成功している。ここからは大きな空隙構造を持つ既知フォールド(α/βフォールドなど)に対して学習を行わせて大きな空隙を持つ人工タンパク質の創出を目指す。その後、2014年のRosettaチームの論文をもとに、ヘム結合に必要な残基を取り付けてRosettaプログラム上での構造収束を目指し、最終的に実験的に人工タンパク質を発現できることを目指す。
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