2019 Fiscal Year Research-status Report
構造と機能の両立を目指した新規ヘム結合蛋白質の計算設計と実験的検証
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18K14660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森脇 由隆 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70751303)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人工タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生物にとって重要な補因子の1つであるヘムに結合できるタンパク質を人工的に創出することを目指している。ヘムに結合可能なタンパク質はProtein Data Bank(PDB)に多く登録されており、様々な機能とタンパク質構造様式が存在することが知られている。本研究ではαヘリックスから構築されるグロビン構造をもとにしつつ、天然に存在しないアミノ酸配列を持ったタンパク質を構築することと、当研究者が以前に研究を行っていたヘム輸送タンパク質IsdH, IsdA, IsdCに類似したドメイン構造(多くのβシートからなる)を持つ構造を合理的に創出できる手法論の開発を目指している。 αヘリックスを主体とするタンパク質構造の理論については、昨年度に行っていたRosettaフラグメントのサンプリングの強化とそれらをつなぐループ構造の最適化によって構築されうることが判明しつつある。一方で、βシート構造を多く持つ主鎖構造の創出には時間がかかっており、αヘリックスと違ってアミノ酸配列上で離れた部位がβシート構造を形成するように仕向ける手法、および最適なアミノ酸配列を形成する上での制約を考える必要があることから、難航している段階である。これについては近年のタンパク質構造予測分野で注目を浴びているDirect coupling analysis (DCA)などの共進化情報をうまく取り込めるかどうかを検討している。また、これらについてのタンパク質構造デザインを加速するための特徴量抽出を行い、よりもっともらしいヘム結合タンパク質構造への折りたたみに関わる特徴量をアミノ酸配列に埋め込む方法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)を始めとした多くの共同研究に関わっており、そちらの研究課題での論文化などに時間を多く割くことになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
Rosettaを用いたフラグメントライブラリによるタンパク質創出を利用し、いくつかのもっともらしいヘム結合タンパク質候補をアウトプットさせてみる。これについてGromacsなどのMDシミュレーションソフトウェアを使って安定性を評価した後、大腸菌系での発現に持っていけそうなアミノ酸配列をピックアップし、実験による検証を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
学会発表が予定よりも減ってしまったことで参考書や技術書を代わりに購入することにした。933円余ってしまったが、今年度予定している生化学的な実験で使用される試薬等に用いる予定である。
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