2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of structural changes in the Kai complex during circadian oscillation
Project/Area Number |
18K14667
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
武藤 梨沙 福岡大学, 理学部, 助教 (10622417)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 生物時計 / 藍色細菌 / 電子スピン共鳴法 / 核磁気共鳴法 |
Outline of Annual Research Achievements |
藍色細菌の生物時計分子装置は、時計タンパク質KaiA、KaiB、KaiCの3つから構成されている。これらのタンパク質を試験管内で混ぜ合わせると、ATP存在下で約24時間の周期でKaiCのリン酸化レベルやATPase活性が変動することから、他の生物種の生物時計の研究よりも格段に進んでいる。これまでに、Kaiタンパク質それぞれの結晶構造が明らかにされ、KaiBC複合体、KaiABC複合体の構造も明らかになりつつある。しかし、それらは全長タンパク質ではなくドメインやリン酸化変異体を用いており、未だ時計の本質は明らかになっていない。本研究では、核磁気共鳴(NMR)法と電子スピン共鳴(ESR)法を用いて、これらの3つのタンパク質が、いつ、どこで相互作用しあうのかを明らかにすることを試みた。 本年度は、昨年度に引き続き、KaiBにスピンラベルを導入し、KaiB上のKaiA相互作用部位を網羅的に探索し、相互作用部位を特定した。次に、KaiAのN末端にHisタグを付加し、そこへCu2+を結合させ、ESR測定を行った。その結果、室温でCuのESRスペクトルを観測することができた。しかし、Hisタグを付加したKaiAは、KaiCと複合体を形成できないことが分かった。これは、Hisタグの電荷が関与していると考えた。KaiAのC末端ドメインとKaiCのC末端ドメイン(C末端のループ)が結合することが報告されているため、N末端側の電荷が相互作用に関与していることは、KaiCとの相互作用する際には、KaiAのN末端ドメインが大きく構造変化するのではないかと考えられる。この結果は、これまでに本研究で明らかにしたKaiA-KaiB相互作用時のKaiAのN末端ドメインが大きく構造変化するという結果とも一致している。
|
Research Products
(4 results)