2018 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類概日時計の自律的に発振するリン酸化反応の創生
Project/Area Number |
18K14670
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
篠原 雄太 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 特別研究員 (10755193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 概日時計 / リン酸化 / 温度補償性 / 脱リン酸化 / casein kinase 1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では哺乳類概日時計の動作原理として考えられる自律性をもつミニマルなリン酸化振動子の試験管内再構成を目的としている。これまでの研究より概日時計の周期長を決定するCKIに脱リン酸化活性があることを見出している。可逆的リン酸化脱リン酸化サイクルを構成するためにCKIの新規脱リン酸化に着目した。しかしこの脱リン酸化活性はリン酸化活性と比較すると活性は小さいため、タンパク質やペプチドによって向上させなければいけない問題点があった。そこでこれらを解決するために本研究では、1.CKIの新規脱リン酸化活性を賦活化させるペプチドを、時計タンパク質由来のペプチドライブラリより探索して発見。 2.時計タンパク質由来のペプチドライブラリを用いたスクリーニングよりCKIのリン酸化活性を向上させるペプチドを発見を達成した。さらにこれらの一連のペプチドはリン酸化セリン/スレオニンが含まれていると脱リン酸化を賦活化させる効果があることを見出している。さらに発見したペプチドとCKIの相互作用を等温滴定型カロリメトリ(ITC)を用いて測定した。これまで脱リン酸化に重要だと思われるCKI変異体と比較して結合定数を求めると、高い結合親和力とともにCKIの脱リン酸化活性に重要なアミノ酸残基が明らかになった。脱リン酸化活性の生物学的な意義を解明するために、CKI遺伝子変異体マウスを作製中である。さらに、これら1.2の発見は酵素活性(リン酸化/脱リン酸化)をタンパク質やペプチドによりアロステリックに制御する機構の解明につながるため、酵素活性一般性をもつ可能性を秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
時計タンパク質(PER1/2,CRY1/2,BMAL1,CLOCK)由来のペプチドを化学合成を行い、CKIの脱リン酸化活性を賦活化させる一連のペプチドを探索した。その結果、一部のペプチドが脱リン酸化活性を向上させることを見出した。またCKIの脱リン酸化活性のみならずリン酸化活性をアロステリックに向上させるペプチドも発見している。
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Strategy for Future Research Activity |
リン酸化/脱リン酸化と相互作用させるペプチドを用いて自律的なリン酸化振動子が構成しうるかを検討する。基質ペプチドや時計タンパク質由来ペプチド、ATPやADPなどの濃度条件の最適化を検討していく。長時間ののサンプリングは分注機による自動化を行い、実験の効率化を図る。
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Causes of Carryover |
培養細胞の実験で使用するディッシュの納期がメーカー都合により遅れてしまい、年度内に納品されることができなかった。そのため次年度に発注をして差額分を使用する。
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