2019 Fiscal Year Annual Research Report
Approach to the problem of phosphorylation routing with novel ATP analogs
Project/Area Number |
18K14683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大出 晃士 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (40612122)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 質量分析 / リン酸化 / 天然変性領域 / ASキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、キナーゼ特異的に進行する多重リン酸化サイトの相互依存性を系統的に解析する実験系を構築することを目的としている。CaMKIIおよびCKIを対象としてASキナーゼ変異体を作製し、複数種類の変異キナーゼ活性を高効率に測定できる細胞抽出液系を立ち上げた。反応液中のATP濃度を含め、AS変異キナーゼにATPアナログが高効率に基質認識される条件を探索したが、既知のATPアナログがATPによる通常のリン酸化反応に十分に影響を与える条件を見つけることはできなかった。従って、新規ATPアナログの機能評価には至らず、課題が残った。 一方、本研究の科学的興味である多重リン酸化経路の描出については、CaMKIIを中心として進展を得ることが出来た。まず、昨年度までに見出したCaMKIIの複数の自己リン酸化サイト(新規リン酸化サイトを含む)について、これらサイトがCaMKIIを活性化させた際に、どのような時系列でリン酸化されるのかを調べた。また、これらサイトに疑似リン酸化変異を導入した時にCaMKIIの活性がどのように変化するのかを、上述した細胞抽出液系を用いて測定した。その結果、CaMKIIの活性制御に重要であることが良く知られている既知のリン酸化サイト群からは遅れてリン酸化レベルが上昇するリン酸化サイトがあること、およびこの遅れて上昇するリン酸化サイトの中には、CaMKII活性を上昇させるものも、抑制するものも含まれることが明らかになった。すなわち、CaMKIIの活性は、多重リン酸化を介して、これまでよく理解されいた時間スケールよりもより長い時間スケールで活性促進・抑制の双方に制御されている可能性を提示することができた。
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Research Products
(5 results)