2020 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism of recognition and fusion in Ulva gametes
Project/Area Number |
18K14690
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市原 健介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 特任助教 (60610095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有性生殖 / アロ認証 / 海藻 / ゲノム編集 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はゲノム編集の系を確立させることを目的として実験を進めた。CRISPR-Cas9システムをスジアオノリに適用し、効率的なゲノム編集技術を確立するため、adenine phosphoribosyltransferase(APT)によるスクリーニング系を考案した。プリンサルベージ経路に関与するAPTは選択マーカー遺伝子として知られており、野生株はアデニンアナログである2-Fluoroadenine(2-FA)存在下では生育できないが、ゲノム編集によってAPTの機能が欠損した株は2-FAを含む培地で生育できる。ポリエチレングリコール法により、Cas9タンパク質とgRNAからなるRNP複合体をスジアオノリ配偶子へ導入を試みたところ、2-FAを含む培地で多数の葉状体の発生が観察され、これらの個体ではAPT遺伝子に様々な変異が導入されており、ゲノム編集実験系がスジアオノリで確立できた。次にゲノム編集によって内在遺伝子に蛍光タンパク質GFP等のタグを付加する実験系も試みた。Cas9でゲノムを切断し、一本鎖DNAを‘のり’とすることで、相同組換えによりDNAドナーをゲノムへ挿入するノックイン実験系を考案した。実験の結果、rbcS遺伝子のC末端にGFPを挿入することに成功しrbcS-GFP融合タンパク質が効率的に発現することを確認できた。 さらに、前年度発見した植物受精因子GEX2に類似性を示すタンパク質を標的として、2-FA選抜を利用した二重変異体の作出を試みた。APTとGEX2を標的としたRNPを同時に導入したところ、得られた2-FA耐性株の70%でGEX2配列にも変異が挿入されていることが確認できた。またGEX2に変異を持つ雄配偶子は雌配偶子との受精効率が著しく落ち、接合子が形成されなくなることも明らかとなり、GEX2が海藻類の接合においても重要な役割を持つことが示唆された。
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Research Products
(1 results)