2018 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study of autophagy dynamics
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18K14693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
境 祐二 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (70631779)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / 膜物理 / 形の相転移 / 相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは、オートファゴソーム膜が不要なオルガネラやタンパク質を取り囲み、分解酵素であるリソソームと融合することで内部の不要物を分解する細胞内分解経路である。オートファゴソーム膜形成は、隔離膜という扁平なベシクルが成長するダイナミクスである。隔離膜はお椀のように全体を曲がりながら成長し、最終的に閉口することで、細胞質を取り囲み隔離することができる。このオートファゴソーム形成は、オートファジーにとって必要不可欠であるにも関わらず、どのようなメカニズムで扁平な隔離膜が安定に成長できるのかは理解されていない。 近年、オートファジー関連因子に高い膜曲率を生成するBARタンパク質(曲率因子)が含まれること、この曲率因子をノックアウトするとできるオートファゴソームが小さくなることが実験で示された。オートファジー関連因子には高曲率領域に局在するものがある。これら曲率に関連した因子(曲率因子)がオートファゴソーム形成のダイナミクスに与える影響について数理モデルを用いて解析した。 曲率因子は高曲率な隔離膜のエッジ部分に局在することで、オートファゴソーム形成過程を安定化し、より大きなオートファゴソームを形成することができる。また、隔離膜が曲がりだすと、正の曲率を持つ外膜に分布するようになり、途中段階のお椀型を安定化することができ、オートファゴソーム形成過程を安定で緩やかにする。そのような曲率因子の隔離膜分布による曲率制御のメカニズムがオートファゴソーム形成を安定化することができることを示した。また、曲率因子の数とオートファゴソームの大きさは正の相関を持つことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オートファゴソーム形成過程の数理モデリングはおおむね順調に進展している。また、共同研究者の実験によりオートファゴソーム形成過程の細胞内動態が得られている。今後は、この動態を定量化し、数理モデルと比較することでより詳細な解析を行なっていく。 当初の研究計画において、1年目に電子顕微鏡で得られたオートファゴソーム形成過程の形とそれに働く応力の定量化を行い、2年目に蛍光顕微鏡によるオートファゴソーム形成過程の実時間測定で、形と関連因子の局在とを関係づけて理論解析すると計画していたが、1年目にまず、蛍光観察による概略的な理論研究を行なった。 当初の研究計画と順番は逆転してしまったが、進捗内容としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、オートファゴソーム形成過程の数理モデル研究を行う。蛍光顕微鏡観察によって得られたオートファゴソーム形成過程の形態変化ダイナミクスを定量化し、数理モデル結果と比較する。以上の結果についてまとめ論文化する。 次に、電子顕微鏡を用いてオートファゴソーム形成過程の3次元形態を再構築し、データ科学的手法を用いて形態の特徴量を抽出する。特徴的なオートファゴソーム形成過程の形態変化のダイナミクスを求め、主成分分析やエネルギー解析を行う。
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Causes of Carryover |
数理モデルのシミュレーションのための数値計算用ワークステーションを購入するために前倒し申請を行なった。前倒し請求額でワークステーションおよびメモリーを購入する予定であったが、今年度はワークステーションのみを購入し試用した。次年度に余った前倒し請求額を使ってワークステーション用のメモリーを購入する予定である。
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Research Products
(4 results)