2018 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュを用いたオートファジー関連因子群の生理機能の解明
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18K14694
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森下 英晃 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90783499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / ゼブラフィッシュ / リソソーム / オルガネラ分解 / 浮袋 / リポタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは代表的な細胞内分解システムであり、脊椎動物ではその実行に20種類以上のオートファジー関連因子群が関与する。しかし、これらの多種多様なオートファジー関連因子群がそれぞれ生体内でどの程度オートファジーに関与しているのかや、どのような固有の生理機能を有しているのかはほとんど不明である。そこで本研究では、各因子の生体内におけるオートファジーへの重要性と機能の解明を目的として、ライブイメージングや大規模な遺伝学的解析が容易なゼブラフィッシュを用いた解析を進めている。本年度は、オートファジー関連因子群の生理機能を解明するため、CRISPR/Cas9システムで主要なオートファジー関連因子の欠損体を作製し、生存率や発生異常などを解析した。その結果、オートファゴソーム形成に必須なオートファジー関連因子群を欠損させたゼブラフィッシュは受精後2週間以内に致死となり、浮袋の拡張不全を認めた。またFIP200やATG13などの欠損体は受精後約10日で致死となる一方で、Vmp1欠損体はより早期の受精後約9日で致死となり腸管や肝臓へ脂質が蓄積することが明らかとなった。現在、これらの表現型について詳細な解析を進めており、進化的保存性を解析するため、各種ノックアウトマウスを用いた解析も並行して行っている。本研究の成果はオートファジー関連因子群の機能の多様性の理解およびオートファジーの発生過程における機能の解明に貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、主要なオートファジー関連因子群を欠損させたゼブラフィッシュの樹立と表現型のスクリーニングを予定していたが、これらはほぼ完了した。そこで次年度以降に予定していた、各表現型の詳細な解析に取り組んでおり、こちらも順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、オートファジー関連因子欠損ゼブラフィッシュの詳細な表現型の解析を進める。具体的には浮袋、腸管、肝臓におけるオートファジー関連因子の機能解析を行う。また、他のオートファジー関連遺伝子欠損ゼブラフィッシュの作製と解析にも取り組み、これらについても表現型解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していたマウスの作製が実験上の理由で遅れたため、飼育費分の一部を翌年度に使用する計画とした。論文が初年度内に受理されなかったため、論文投稿料を翌年度に移行した。
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Research Products
(9 results)