2018 Fiscal Year Research-status Report
Epithelial stem cells: cellular dynamics and future use in regenerative therapy
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18K14709
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西村 亜衣子 (佐田) 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (80779059)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表皮幹細胞 / 三次元培養 / バイオエンジニアリング / 皮膚科学 / ニッチ / 幹細胞老化 / 組織幹細胞 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚は、身体の表面を覆う表皮とその下層の支持組織である真皮から構成される。ヒト皮膚において、表皮と真皮の境目は平坦ではなく、「上皮脚」と呼ばれる表皮が真皮に入り込んだ凹凸構造をとることが知られている。組織学的・病理学的観察により、上皮脚は、表皮幹細胞の局在と関係すること、皮膚の加齢や病変により形状が変化することが示唆されている。しかし、マウス皮膚には上皮脚が存在しないこと、表皮幹細胞マーカーが長年未同定であったことから、上皮脚構造と幹細胞機能との関連を実証するのは困難であった。 本研究では、マウスで唯一上皮脚を持つ口腔粘膜組織に着目し、in vivoにおいて、組織構造、幹細胞局在・挙動の解析を行った。さらに、我々が独自に確立した表皮幹細胞の分子マーカーと解析ツールを、バイオエンジニアリング技術と組み合わせ、組織の凹凸構造を模倣した幹細胞の三次元培養モデルの構築を進めている。 皮膚の表皮幹細胞は高い再生能を持ち、重症熱傷の治癒を目的とした移植医療に古くから利用されてきたが、結合組織も含めた複雑な皮膚の構造を完全に再生することは技術的に困難である。一方、口腔粘膜上皮は、角膜移植の細胞ソースとして広く使われ、再生医療の観点からも利用価値が高いが、幹細胞の基礎的特性の理解が遅れている。本研究は、上皮幹細胞の性質や制御メカニズムを包括的に理解し、より高度な再生医療の実現を目指す。幹細胞の増殖や分化に最適な凹凸構造を同定することは、将来的に、より質の良い人工皮膚の形成などにつながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、幹細胞ダイナミクス解析についての主要なデータは得られている。三次元培養系の構築に関しても順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、幹細胞の三次元培養系の最適条件をさらに検討する。この系を用い、幹細胞が凹凸構造に対して、①どこに位置するか、②どこで分裂・分化するかを詳細に観察する。さらに、老化した上皮脚を再現するため、平坦化した凹凸構造をデザインし、組織の構造変化が幹細胞に与える影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
年度末に発注した物品が、大学の会計システムに反映されるまで時間がかかるため(実際には、年度内の未使用額は867円であった)。未使用額は、次年度の物品費として使用する。
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