2018 Fiscal Year Research-status Report
Physiological analysis on mechanisms of the pineal wavelength discrimination involving the bistable opsin
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18K14751
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
和田 清二 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (90747320)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 松果体 / オプシン / pineal organ / opsin |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、1オプシンシステム(パラピノプシン単独の波長識別システム)と2オプシンシステム(パラピノプシンとパリエトプシンの協調的な波長識別システム)がどのような光環境において動作するのかを検討し、比較するために、主に、①ゼブラフィッシュ松果体のカルシウムイメージング、②円口類ヤツメウナギの松果体の細胞内記録に取り組んだ。①のゼブラフィッシュ松果体の光受容細胞の解析については、直射日光の波長成分によく似た光源とブロードな波長幅であるLED光源を使用し、夕方ごろのひなたと日陰の波長成分を模した光照射系において、パラピノプシン細胞が波長識別応答を示すことを明らかにした。すなわち1オプシンシステム(パラピノプシン単独)は、従来2オプシンシステムが動作すると考えられてきた日の出前や日の入り後の、非常に光が弱い環境ではなく、強い環境光下で動作することを示唆している。①で最適化された光照射系を①のヤツメウナギ(カワヤツメ)を用いた解析においても使用することを試みたが、パラピノプシン細胞からの1オプシン応答を記録することはできなかった。さらに、③ゼブラフィッシュ松果体の神経節細胞の解析を同様のカルシウムイメージングで行い、先行研究でも報告されている可視光感受性の非感色性応答(明るさ検出)とUVと可視光に対して拮抗的な反応を示す感色性応答(波長検出)を見出した。今後、パラピノプシンやパリエトプシンの欠損変異体を使用することで、感色性応答がどのように変化するのかを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カワヤツメを用いた細胞内記録の実施状況は計画通り進んだとは言えない。一方で、ゼブラフィッシュ松果体の神経節細胞の解析は平成30年度において初めて実施されたにも関わらず、これまでの研究において光受容細胞のカルシウムイメージング技術をおおむね最適化できていたことから、ほとんど同様の実験技法で解析可能であったため大きく進展した。総合しておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヤツメウナギ(カワヤツメ)を用いた解析については、スナヤツメへと動物を変えることも検討し、集中的に細胞内記録を行う方針である。ゼブラフィッシュ松果体の神経節細胞の解析系をもとに、平成31年度の研究計画に立案していたように、脳のどのような領域に松果体の色検出応答を伝えるのかを網羅的に探索し、生理機能とのつながりを考察する。
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Causes of Carryover |
平成30年度にカワヤツメを使用した研究計画を立案したが、カワヤツメの漁獲量が例年より少ないことが要因で、カワヤツメの購入およびカワヤツメの飼育に係る消耗品の購入に充てる予定であった予算が余り、次年度使用額が生じた。31年度でも、カワヤツメの購入を検討するが、昨年同様の事態を回避するため、異なる種(スナヤツメ)の購入、および飼育に係る消耗品の購入を検討する。一方で、順調に進んでいるゼブラフィッシュを用いたカルシウムイメージング解析に係る消耗品にも重点的に予算を計上する。
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Research Products
(9 results)