2020 Fiscal Year Research-status Report
被食ー捕食ー超捕食系における進化的軍拡競争の微生物実験進化系による解析
Project/Area Number |
18K14763
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 京祐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70636472)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 生態-進化フィードバック / ミクロコズム / モデル系 / 進化動態 / 捕食性細菌 / バクテリオファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、被食者(大腸菌)、捕食者(Bdellovibrio bacteriovorus)、超捕食者(B. bacteriovorus感染性ウイルス)の3種を用いた二者および三者混合連続培養系による進化実験で得られた各種進化株・集団について、生理学的・遺伝学的特徴づけを実施した。捕食者-被食者の二者系とそれに超捕食者を加えた三者系との比較バッチ捕食試験を用い、被食者の菌密度減少速度を指標として超捕食者の感染能とそれに対する捕食者の防衛能の定量的評価手法を検討した。現在までに、再現的に超捕食者および捕食者それぞれの進化株において感染能力および防衛能が変化しているケースは確認できていないが、今後評価手法自体の改良(再現性を得るための実験条件設定等)を進め、超捕食者および捕食者の適応形質のより詳細な解析を目指す。また、集団ゲノム解析から得られたデータに基づき進化集団に蓄積した変異箇所を詳細に解析した結果、二者および三者系の被食者ゲノムには細胞外膜成分の生合成に関与する遺伝子に変異を検出した。一方で、捕食者ゲノムに関しては三者系でのみ細胞外膜成分の生合成に関与する遺伝子に変異を検出した。これらのことから、本実験系の適応過程において細胞間や細胞―ウイルス粒子間の直接的相互作用が選択圧として重要であることが強く示唆された。 現在、これまでに実施した短期(5週間)、中期(10週間)進化実験に加えて、長期(6ヶ月~)にわたる進化実験系を実施中であり、より長いタイムスケールにおいてみられる進化動態・群集動態の解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延に伴う出勤制限等により、各種実験の実施が困難であったため。具体的には、進化株の生理学的・遺伝学的キャラクタライズが未完了であるほか、中期進化実験系の詳細な群集動態解析と進化動態との関連付けにも着手できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き進化株・集団について、生理学的・遺伝学的特徴づけを進め、連鎖する被食-捕食関係において特徴的な進化動態とその遺伝学的背景を明らかにする。また、中期進化実験系で得られた個体数変動データと進化動態との相関解析を進める。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延に伴う出勤制限等により、各種実験の実施が困難であったため研究進捗に遅れが出た。来年度は引き続き進化株・集団の生理学的・遺伝学的特徴づけを進め、連鎖する被食-捕食関係において特徴的な進化動態とその遺伝学的背景を明らかにするとともに、中期進化実験系で得られた個体数変動データと進化動態との相関解析を進め、さらには長期進化実験系における群集・進化動態との比較解析も実施する。
|