2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14764
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
山崎 曜 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 博士研究員 (40816021)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝的同化 / DNAメチル化 / 表現型可塑性 / 浸透圧 / トゲウオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,新規環境進出における遺伝的同化の有無を,ゲノミクスとエピジェネティクスの手法を用いて検証することである.遺伝的同化は,集団が経験する低い適応度が可塑性で対処された後に,適応進化が追随する現象を指す.遺伝的同化は新規環境進出における表現型可塑性の役割を解明する上で重要な現象とされる.本研究ではDNAメチル化の環境間での可塑的応答に着目し,それとゲノム上の自然選択の履歴を対応させて分析することで,遺伝的同化の有無について検証する.海域から新規環境である淡水域に繰り返し進入した魚類のイトヨを材料に,淡水適応に関連した遺伝的同化が起きた候補となるゲノム領域を探索する.本年度では以下の研究内容を実施した. (1)全ゲノム解析による集団動態の推定と自然選択の検出:前年度に引き続き,集団動態の推定と自然選択の痕跡の検出を目的として,全ゲノム解析を行った.解析する淡水集団を1つ増やし,合計5集団を解析した.追加した1集団についても他の淡水集団と同様に,海型との遺伝子流動は軽微だった.解析結果を日本進化学会,およびヨーロッパ進化生物学会で口頭発表した. (2)異なる塩分環境におけるメチル化パターンの違いと遺伝的同化の候補領域推定:淡水集団と回遊集団を淡水と海水で飼育することで,異なるメチル化パターンが導入されるかどうかを飼育実験で検証している.前年度までに4集団での実験を完了させていたが,追加で1集団についても同様の実験を行い,バイサルファイトシーケンスに向けたサンプルを得た. (3)メチル化の着脱を制御するゲノム領域の推定:前年度までに作成していたF1家系の一部を用いてF2を作成した.F2を海水環境で飼育することでメチル化の導入操作を行った.F2のサンプリングが半分ほど完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全ゲノム解析については,追加集団も含め概ね終了した.飼育実験について,追加集団も含めて実験は完了したが,バイサルファイトシーケンスに遅れが出ている.QTL用のF2の取得については概ね予定通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)については概ね終了した.(2)について,これまでにサンプリングした集団についてバイサルファイトシーケンスを行い,海水飼育区と淡水飼育区で異なるメチル化パターンを示す領域を探索する.(3)については,F2の作出,およびF2作出が済んでいる家系については,海水飼育実験とサンプリングを継続する.F2のメチル化パターンを表現型としてQTLマッピングを行い,メチル化のオンオフを切り替えるゲノム領域を検出する.
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Causes of Carryover |
初年度の次年度使用額が多かったため,今年度においてもわずかに次年度使用額が発生した.この次年度使用額は次世代シーケンスの費用として使用予定である.
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