2018 Fiscal Year Research-status Report
The evolutionary genetic basis of diversified sexual dimorphism in Adrianichthyidae fishes
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18K14769
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
安齋 賢 基礎生物学研究所, バイオリソース研究室, 助教 (20779467)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 性的二型 / メダカ / 体色 / 調節領域 / 配偶者選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近縁種間での性的二型の多様化に関わる進化・遺伝機構を分子レベルで詳細に解明することを目的としている。特にインドネシア・スラウェシ島の固有種であるウォウォールメダカに着目し、雄で獲得された胸鰭の赤色婚姻色をモデルとして研究を行っている。本年度は、これまでの解析から同定された有力な原因遺伝子csf1に関する解析を中心に、次の実験を行った。 1) CRISPR/Casシステムにより作出したcsf1変異系統は、全身で赤色素細胞を欠損することから、csf1が赤色素細胞の発生に重要であることを見出した。2) CRISPR/CasシステムによりGFPノックイン系統を作出し、GFP蛍光の観察を行った。雄胸鰭を含む赤色素細胞が存在する組織でのcsf1の発現を確認した。3) 雌成魚への雄性ホルモン投与とその後の定量PCR解析により、胸鰭でのcsf1遺伝子発現が雄性ホルモンによる転写調節を受けることを示した。4) ウォウォールメダカの参照ゲノム配列を構築するため、長鎖シークエンサーによる新規配列解読およびアッセンブルをおこなった。近縁種セレベスメダカゲノムとの比較からcsf1周辺に構造変異が存在することが明らかとなった。5) 野生集団の全ゲノムリシークエンスを行い、csf1周辺での自然選択の痕跡を探索したが、有意なシグナルは検出できなかった。6) 赤色を欠損するcsf1変異系統を配偶行動実験により、雌が変異雄を交配相手として受け入れる時間が有意に伸びたため、赤色が配偶者選択に何らかの寄与をすることが示唆された。7) スラウェシ島のメダカ生息地を訪問し、固有種生息環境の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の年次計画に沿って、csf1-KO系統およびGFP-KI系統の作出・解析、雄性ホルモン投与と遺伝子発現解析、KO系統を用いた配偶行動実験、野生集団における集団ゲノミクス解析を行うことができた。これらの実験について結果が得ることができたため、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、雄胸鰭でのcsf1の発現上昇メカニズムを分子レベルで理解するために、シス調節配列の解析を中心に進める。エンハンサー領域を同定するために、GFPレポーター解析を行う予定である。また、当初の計画にはなかったがATAC-seqによるオープンクロマチン領域の探索も行う予定である。
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Research Products
(10 results)