2020 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study on prey capturing performance of parallel navigation in the pursuit predation
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18K14772
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
西海 望 基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 特別研究員 (10760390)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アキアカネ / 野外観察 / 目標追跡運動 / 動物のナビゲーション / 捕食者-被食者間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度までに開発した対面実験系を用いて検証実験を行う予定であったが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて、トンボの飼育ラインの維持が困難となり、実験実施を見送った。その代わりに、野外観察に重点を置いた。野外観察は主に愛知県と京都府にて行い、待ち伏せ型採餌様式をとるアキアカネを対象に、その餌追跡行動を撮影した。得られた映像からアキアカネの3次元移動経路を算出し、餌追跡における運動特性を推定した。得られた運動特性を元に検証用の追跡アルゴリズムの改良を行った。また、従来の報告にない新たな追跡パターンの例も観察され、その移動経路を分析した結果、本種が餌の運動を予測する独特の能力を備えていることが示唆された。 比較研究として、トンボ以外の動物の餌追跡運動を調査した。まず、トンボと同様にParallel Navigation型追跡運動を行うと考えられているコウモリ(ニホンキクガシタコウモリ)に着目して、その餌追跡行動における戦術性を分析した。その結果、飛行と超音波照射を協働させ、逃げる蛾の未来位置を予測して超音波を照射していることが判明した。また、その予測が蛾を捕捉する上で重要であることをコンピュータシミュレーションによって明らかにした。また、コウモリの予測をより正確に記述する新たなモデルを考案した。この他、ハチやアブ等を対象に野外で基礎的な追跡運動データの収集を行った。 戦術性検証用の対面実験系については、情報処理機構の合理化を行うと共に処理上の役割ごとにソフトウェアをライブラリ化し、将来的な情報公開の際に他のユーザーが利用しやすいようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスによる感染拡大の影響を受けて、飼育ラインの維持が困難となり、予定していた室内実験を見送ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、昨年度実施できなかった室内実験を行い、Paralel Navigation型追跡運動の戦術性を検証することを目指す。ただし、昨年度同様にコロナ禍による影響で室内実験の実施が困難になる可能性があり、その場合は野外観察とコンピュータシミュレーションを組み合わせた検証方法を次善の策として用いることにする。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた室内実験がコロナ禍の影響により実施できなかったため、当実験に計上した予算が使われず、次年度使用額が生じることとなった。次年度の使用計画としては、基本的に上記室内実験に向けて使用する予定である。ただし、コロナ禍による影響等で当実験の実施が困難となった場合には、代替手段となる野外観察とコンピュータ解析に使用することとする。
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