2018 Fiscal Year Research-status Report
吸虫類のスポロシストにみられる形態および運動能の多様性
Project/Area Number |
18K14775
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐々木 瑞希 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00632126)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 吸虫 / スポロシスト / ロイコクロリディウム |
Outline of Annual Research Achievements |
Leucochloridium属吸虫はその幼虫(broodsac)が特徴的な色彩とイモムシに類似した動きをもってカタツムリの眼柄に現れることで知られている。本研究では、吸虫類のスポロシストにみられる形態および運動能の多様性について、Leucochloridium属を例として解析する。本年度は北海道で採集可能なL. perturbatumの色素解析ならびにゲノム解読、RNAseqを行った。さらに、日本における3種の本属吸虫について明らかにし、宿主の生態とそれぞれの種の分布を考察した。 L. perturbatumの持つ褐色の色素は水溶性であり、エタノールや酸を用いた除タンパク処理により、同時に色素も不溶性となった。また、組織標本から、色素は細胞内に局在していた。このことから、この褐色色素はタンパク質と結合して水溶性の物質として細胞内に局在することがあきらかとなった。蒸留水で抽出した色素ータンパク質複合体をゲルろ過クロマトグラフィーで分離した。今後、ピーク部のフラクションについて質量分析により、結合タンパク質の同定を試みる。 タンパク質の同定には、本寄生虫のゲノムおよびトランスクリプトーム解析が必須である。先進ゲノム支援により、L. perturbatumのゲノムを解析し、アセンブルを行った。今後、RNAseqのデータと合わせてアノテーションを付与する予定である。 また、緑色の色素をもつL. paradoxum、褐色の色素をもつL. perturbatumのほか、沖縄に分布が見られる本属吸虫のDNAおよび形態解析を行い、日本のオカモノアラガイ科陸貝には3種の本属吸虫が認められることを明らかにし、その結果について学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプルの不足が影響し、やや遅れている。サンプル採集のシーズン中に、できうる限りのサンプリングを行ったが、ゲノム解析に使用したため、免疫染色等に供するサンプルが不足している。とくに、RNAは収量が低く、ゲノムのアノテーションやRNAseqによるタンパク質発現量の比較をめざすためには、再度抽出が必要である。そのため、今年度もサンプリングを行い、残っている実験について順次行っていく必要がある。 一方、ゲノム解析については、先進ゲノム支援により順調に進行している。今後はアノテーションの付与を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
不足分の材料が入手でき次第、感染オカモノアラガイの病理組織切片を作成し、これらの標本を用いてPhalloidinによりアクチン線維の走行を、anti-SYNORF抗体を用いた免疫染色により神経線維の走行を、それぞれの寄生虫種間で比較観察する。比較対象として、Brachylaima属吸虫スポロシストを使用するが、こちらはすでに準備が整っている。 色素の解析については、カラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィーによる実験をおこなっているため、これを継続する。 ゲノム解析は順調に進行している。RNAseqによる解析については、リード数が不足しているため、さらに行い、ゲノムのアノテーションを進める。
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Causes of Carryover |
採集できたサンプルからのDNAおよびRNA収量が低かったため、それ以外の実験が滞った。そのため、解析に使用する試薬等が未購入であり、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)