2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the evolutionary process of fruit morphology related to seed dispersal
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18K14779
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榮村 奈緒子 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (10762114)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 種子散布 / 多型 / 海岸植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
海岸植物のクサトベラScaevola taccada(クサトベラ科)は、海流散布の有無という散布能力と環境選好性に明瞭な違いのある二型が存在する。本種のハビタットシフトにともなう種子散布形質の進化過程を理解することが、本研究の大きな目的である。最終年度では二型間の分子レベルの違いと、二型間および環境間の果実形態変異について調べた。 分子レベルの違いを調べるために、全ゲノム連関解析の一つであるQTL-seq法を行った。解析に使用したサンプルは、石垣島の真栄里集団から各型27個体、西表島から各型3個体を用いた。これらの葉からゲノムDNAを抽出して、各果実型で等しい濃度に混合したバルクDNAを作成した。これらのバルクDNAのシーケンス、および基準配列との配列解析は、2020年度の先進ゲノム支援を受けて進められている。基準配列は昨年度に全ゲノム配列を決定したコルク型自殖第一世代個体を使用する。二型の違いをもたらす原因遺伝子の同定には、このQTL-seqの解析結果に加えて、 これまでに行ったRNA-seqによる 二型間の果実の比較トランスクリプトーム解析の結果も用いて総合的に進める。 二型間および環境間の果実形態比較では、南西諸島と小笠原諸島の7島の砂浜、岩場、海崖の合計17集団のコルク型1471果実(147個体)と778果実(76個体)について、果実幅、果肉糖度、核果体積など10カ所の果実形質を計測した。その結果、各型は環境によって形態が異なった。例えば、海崖の果肉型は、砂浜よりも果実幅が小さく、果肉糖度が高い傾向がみられ、鳥散布により適した形態であることが示された。
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