2021 Fiscal Year Annual Research Report
Ecological and physiological factors driving the evolution of longevity in social aphids
Project/Area Number |
18K14786
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植松 圭吾 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 助教 (00793861)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会性昆虫 / ゴール / アブラムシ / 進化 / おばあさん効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、社会性アブラムシにおける長寿の進化、および繁殖終了後も生存し、防衛などの自己犠牲的な利他行動を行う”おばあさん効果“の進化の解明を目的とする。具体的には、宿主植物に形成した完全閉鎖ゴール内で長期間生活するという社会性アブラムシの生態に着目し、ゴール内部の環境・生活史形質などを種間・種内で比較することにより、長寿の進化をもたらした生態学的・生理学的要因について検証する。 本年度は、内部のアブラムシの体重変化およびゴールそのものの重量変化について、イスノキにゴールを形成するモンゼンイスアブラムシに着目し、データを追加し、解析を行った。その結果、本種ではゴール形成最終年度の無翅成虫は、繁殖を終了するに伴い体重が減少し、ゴールが裂開する直前の11月には繁殖期の約4分の1から5分の1の体重になりながら、長期にわたって生存すること、一方で有翅虫はゴール裂開直前に急激に成長・増加し、最終的に有翅成虫の体重は無翅成虫の約40倍にもなった。また、ゴール内の虫の体重変化は裂開直前に増加し、最終的にゴール重量の1割以上を占めるようになった。これらの結果は、ゴール内で生涯を終える無翅成虫への投資を可能な限り抑え、ゴール脱出後の繁殖に貢献する有翅成虫により多くの資源を分配するというコロニー全体としての生活史戦略を反映しており、それらが無翅成虫の長寿、および繁殖終了後の利他行動が進化する前段階にあったことが示唆される。
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