2018 Fiscal Year Research-status Report
Ecology and evolution of hot-spring frogs
Project/Area Number |
18K14795
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小巻 翔平 岩手医科大学, いわて東北メディカル・メガバンク機構, 特命助教 (90789629)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 両生類 / 生態 / 温度適応 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
鹿児島県十島村の口之島にある天然温泉(セランマ温泉)ではリュウキュウカジカガエルが生息している。本種の幼生は温水中に生息しており、その水温は両生類では最高の42 度にも達する。このことから本種は高温環境に適応的な特殊な形質を有している可能性がある。 そこで本研究では、リュウキュウカジカガエルが温泉に生息する理由に焦点を当てて調査を行っている。2018年度は4月と8月に口之島のセランマ温泉でのフィールド調査と室内での行動観察を行い、幼生やオスの成体が出現する場所の水温やメスが産卵する場所の水温データを取得・解析した。幼生については温泉内の温度の異なる水域(合計29地点)で個体密度を測定した。オスの成体については、夜間に出現した黄色い体色を呈しているオスを対象に出現場所(112地点)の水温のデータを解析した。産卵場所については、当初野外にて包接しているペアを見つけ、その行動を追跡する方法を採用したが、ペアの発見が難しく、また産卵まで見届けることができなかった。そこで雌雄をそれぞれ最大10個体採集し、水温の異なる容器を設置したケース内に放ち、合計7回の産卵を観察した。 これらの調査・観察は2019年度も継続する予定だが、2018年度までに得られたデータを用いた予備解析の結果からは、本種の幼生、成体の雌雄ともに高水温を避けなるべく低温の水域を選ぶ傾向が示された。このことから、口之島のリュウキュウカジカガエルが温泉に生息しているのは積極的に温泉を選んだ結果ではなく、周辺の水場を選んだ結果である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が順調に進展している主な理由として、野外調査において現地の状況に対応できるよう複数の調査手法・道具を用意していたこと、以前より共同で調査・実験を行ってきた研究者が2018年度の調査でも同行したこと、そして天候に恵まれたことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりに研究を進める。具体的には、2018年度に引き続き野外調査や行動観察を行い、結果をまとめ学術誌や国内外の学会にて報告する。また幼生を用いた分子実験を開始し、2019年度中に得られたデータの解析に着手する。この解析結果もまとめ、得られた知見を学術誌や国内外の学会にて報告する。これらの調査・観察・解析によって、リュウキュウカジカガエルが温泉に生息する理由を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
口之島での調査のための旅費が2018年度予算の残額を超え、翌年度振込を選択したことから次年度使用額が生じた。したがって2019年度への繰り越し分は2018年度の旅費の振込の一部として使用される。それ以外の2019年度予算は当初の研究計画に記載されているとおり野外調査と分子実験に使用する。
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Research Products
(2 results)