2019 Fiscal Year Research-status Report
Commonality in trunk kinetics between bipedalism of human and gibbon
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18K14804
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 遼佑 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (00755788)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋電図 / 運動解析 / 運動制御 / 体幹直立適応 / ニホンザル / シロテテナガザル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度において本計画は二つの点で進展した:(1) テナガザルにおける体幹制御機構の解明、(2) テナガザルとニホンザルの運動力学データの収集である。 シロテテナガザルの二足歩行ではヒト様の体幹制御機構が働くことが明らかとなった。本年度は前年度に引き続き、シロテテナガザルとニホンザルが二足歩行をする際の最長筋の筋活動を多分節で同時計測した。その結果から、シロテテナガザルの二足歩行では、最長筋が頭側ほど活動が早く、尾側に経過するほど活動が遅れることが分かった。筋活動に5分節で10 ms弱時間ずれが存在した。先行研究から、ヒトでも同様の時間ずれが実証されており、その分節間の時間ずれは3分節で10 ms程度である。本年度得られたデータは、ヒト様の時間ずれがシロテテナガザルでも認められ、ヒトとシロテテナガザルの体幹運動を制御する共通した身体機構の存在を示唆すると考えられる。興味深いことに、ニホンザルにおいても分節間で最長筋の活動に時間ずれが存在したが、ヒトやテナガザルに見られたパターンから逸脱する点が多く、ヒト上科グループ (ヒトとテナガザル) とサル類グループ (ニホンザル) の間において体幹制御機構に差異が存在すると考えられた。 この結果は、ヒト上科グループの体幹直立適応の基盤となる生理学的メカニズムを示唆するのかもしれない。体幹直立適応はヒト上科グループの派生的特徴である。ただし、ヒト上科における体幹直立適応は複数の系統において独立して進化したと考えられており、ヒトとテナガザルの体幹制御機構が起源を共有するとは考えにくい。今後、類人猿化石研究の知見と合わせてその進化プロセスについて考察を深める必要がある。 本年度のもう一つの成果は、シロテテナガザルとニホンザルの運動力学的解析に必要なデータ収集を終えたことである。これらのデータについては今後解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに研究は進捗している。本年度で実験のほとんどを終えることが出来た。以降の二年間でデータ解析と研究の総括を中心に研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は運動力学データの解析を中心に研究を進める。申請者が所属を変更したため、これまでの実験環境へのアクセスが困難となったが、既に実験のほとんどを終えることが出来たため今後の進捗に大きな問題とはならないと考えられる。
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Research Products
(2 results)