2020 Fiscal Year Annual Research Report
An analysis of environmental adaptation in Ryukyu islanders by whole-genome sequencing
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18K14805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小金渕 佳江 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10753593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 琉球列島 / 集団遺伝 / 人類学 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、琉球諸島の地域集団に生じた適応進化の可能性を検証し、それらは現在の集団へはどのような影響を与えているのか、という問いを解明するために全ゲノム配列を用いた集団遺伝学解析を行う。そのために、次世代シークエンサーにより取得した全ゲノム配列を解析に利用することで、マイクロアレイよりも多くの多型情報を使用し、集団の遺伝的特徴を明確にする。 【人口動態推定】沖縄島と宮古諸島において、本州日本と漢民族と比較をしながら、有効集団サイズの変動を推定した。その結果、沖縄島及び宮古諸島の大半の人々で出アフリカによる集団サイズの減少の後は、大規模はサイズ変動は起こらなかったことが示唆された。一方で宮古諸島の一部地域では、極端なサイズの減少があったことが示唆された。 【集団の分岐と混合】沖縄島と宮古諸島及び本州日本の間での集団の分岐と混合のモデルを推定した。その結果、グスク時代が始まった11世紀の頃には既に、沖縄島と宮古諸島の人々の間に遺伝的違いが生じていたことが示唆された。 【遺伝的分化・自然選択】沖縄島と宮古諸島、本州日本を比較し、一塩基多型サイト毎に集団遺伝学的統計値Fstを計算した。高Fst値だったサイトを抽出してアノテーションを付与し、各サイトの特徴を明らかにした。また、Fstの計算からは正の自然選択の痕跡は見つからなかった。 【遺伝的集団構造】沖縄島と久米島、宮古諸島、八重山諸島の全ゲノム配列情報をもとに主成分分析を行った。そのプロット図ではそれぞれの地域集団は本州日本とは異なるクラスターを形成した。このことから、琉球諸島人は本州日本とは異なる遺伝的背景をもつだけけなく、列島内でも地域によって遺伝的な分化が生じていること、その違いが地理的分布を反映しない可能性が示された。
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Research Products
(6 results)