2019 Fiscal Year Annual Research Report
Time window of NMDA receptor-dependent LTP in memory formation and consolidation
Project/Area Number |
18K14818
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 明弘 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10741332)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | LTP / Cofilin / CALI |
Outline of Annual Research Achievements |
陳述記憶は初め海馬で形成され、時間経過と共に大脳皮質など海馬以外の領域に移行し 固定化されていくと考えられているが、その機構は明らかではない。海馬では覚醒時に生じた神経活動と同じようなパタンの神経活動が睡眠中にも起こる(replay)ことから、この海馬のreplayにより標的部位の大脳皮質のシナプスに長期増強(LTP, Long-term potentiation)が生じ、新たなネットワークが形成されて記憶が固定化されるという仮説を立てた。この仮説を検討するために、光によってLTPを解除する手法を用いた。この手法では、Cofilin-SNを発現させたスパインに光を照射することでLTPを解除する。 昨年度はCofilin-SNをCaMKII-Creマウス両側海馬CA1の錐体細胞に発現させ、光ファイバーによって海馬に光を照射した。記憶タスク直後に海馬で光照射を行うと記憶が消去されたことから、学習直後に海馬でLTPが誘導されていることを明らかにした。 今年度はさらに記憶学習後の様々なタイミングで光照射を行った。記憶タスクから2時間後-12時間後の間で光照射を行うと、記憶が消去された。つまり、学習直後だけでなく、そのしばらく後に再び海馬でLTPが誘導されることを明らかにした。再び誘導されるLTPがreplayと関係するかを検討するために、睡眠中でのみ光照射を行うと記憶が消去された。一方、覚醒時にのみ光を照射しても記憶に影響はなかった。つまり、睡眠時にLTPが再び誘導されていることを明らかにした。以上の結果から、海馬では学習直後にLTPが誘導され、その数時間後の睡眠中に再びLTPが誘導されることが明らかになり、これが記憶の形成と固定化の過程に重要であると考えられる。
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