2022 Fiscal Year Annual Research Report
他者観察を必要とする行動課題における海馬内での情報処理
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18K14829
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
檀上 輝子 藤田医科大学, 医学部, 助教 (60613247)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2023-03-31
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Keywords | 他者認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
見知らぬマウス同士が初めて出会うと互いに洞毛(ヒゲ)を細かく動かして相手の洞毛と接触させる(ソーシャルタッチ)。その際、高周波による発声(USVs: ultrasonic vocalizations)を相互に用いてコミュニケーションする。洞毛由来の感覚情報は体性感覚野(S1)を通して、高周波の発声は聴覚野(A1)を通して情報処理されるが、この2種類の感覚情報はどのように統合されるのだろうか?マウスでは聴覚野から直接の神経投射を受ける側頭連合皮質(TeA)が体性感覚野から も入力を受けている。本提案では、S1DZ‐TeAを感覚情報を統合する回路の候補として、社会行動中のマウスからシリコンプローブを用いた神経活動記録を行い、マウスが他個体に接触し社会嗜好性を示すメカニズムを明らかにする。 本年度の実験では、ソーシャルタッチとUSVsの情報統合が他者認知に関わるのか、S1DZがソーシャルタッチの感覚情報をコードしているのかを明らかにするため、ソーシャルタッチ時の神経活動記録をおこなった。その結果、相手マウスがソーシャルゾーンに進入した直後に発火活動が上昇するニューロンを確認した。この変化が単に物体との接触によって生じたものか、あるいは接触を予知した神経活動である可能性を除外する必要がある。これらの可能性が除外された場合、ソーシャルタッチに関連した神経活動であると考えられる。CTBを用いた逆行性神経回路の解析ではS1DZが前頭前野やTeAなどの連合野から入力を受けることが明らかになっており、これらの脳領域間での相互連絡が他者認知を促進している可能性がある。
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