2019 Fiscal Year Research-status Report
Remodeling of the postsynaptic density during postnatal development
Project/Area Number |
18K14830
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
貝塚 剛志 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (40782032)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PSD / シナプス後肥厚 / プロテオミクス / 自閉症 / 霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプス後肥厚(postsynaptic density, PSD)は樹状突起スパイン先端部に局在する巨大なタンパク質複合体であり、神経伝達物質受容体や足場タンパク質、シグナル伝達分子など1000種類以上のタンパク質から構成されている。前年度の研究では、生後の発達期におけるマウスの脳のPSDにおいて増加・減少するタンパク質群を同定し、さらに自閉スペクトラム症(以下自閉症)の患者の脳ではこの増減が十分に起こっていない可能性を見出した。本年度は「未成熟なPSD組成」が自閉症に共通する表現型であるかどうかを検証するため、所属研究室で開発された15番染色体重複モデルマウス(Nakatani et al. Cell. 2009 137:1235-46)のPSDプロテオーム解析を行った。その結果、自閉症モデルマウスは、弱い相関ではあるものの、PSDの組成が確かに「未成熟」な傾向を示していることがわかった。さらに、げっ歯類と霊長類の比較を行うため、生後発達期のコモンマーモセット(Callithrix jacchus)のPSDプロテオーム解析を行った。その結果、マウスとマーモセットでは生後発達期のPSD組成の変化、すなわちタンパク質の増減があまり類似していないことがわかった。これらの知見は自閉症の病態、および進化におけるシナプスの変化を理解する上で重要な知見であると考えられる。また、本年度はプロテオームの専門家が集う学会で発表およびディスカッションを行い、本研究におけるプロテオームのデータの計算プロセスの妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては、前年度に続き、意義のある知見を得ることに成功していると考えられる。特に霊長類のPSDに関するクオリティの高いプロテオームデータはこれまでほとんど例がないため、重要なデータであると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はここまでに得られたプロテオーム解析の結果を論文として発表する予定である。またそれと並行し、特に重要と思われたタンパク質について個別の解析を進める。
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Research Products
(2 results)