2018 Fiscal Year Research-status Report
マウス一次視覚野の細胞タイプ特異的な神経回路構造と回路形成機構の解明
Project/Area Number |
18K14831
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
酒井 誠一郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (40709747)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 組織透明化 / FCAS / RNAseq / カルシウムイメージング / 遺伝子発現解析 / 一次視覚野 / マウス / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞タイプ特異的な神経回路構造を明らかにするための要素技術として以下に挙げる実験技術を導入・確立した。(1)マウス大脳新皮質の神経細胞を軸索投射先の違いあるいは神経活動依存的に蛍光標識する技術(2)蛍光標識した神経細胞をFACSソーティングし、遺伝子発現をRNAseqによって解析する技術(3)アデノ随伴ウイルスベクターを用いて特定の遺伝子プロモーター下で遺伝子発現させる、あるいはCRISPR/Cas9システムによってゲノムにノックインすることで細胞タイプ選択的に遺伝子発現を行う技術(4)蛍光標識した神経細胞の脳全体への軸索投射パターンを組織透明化法を用いて三次元解析する技術(4)大脳新皮質広範囲の神経活動をin vivo広視野カルシウムイメージングによって経時的に観測する技術 これら実験技術を用いて、皮質興奮性ニューロンの軸索投射先およびシナプス入力元を描出し、皮質領野間神経回路の構造を解析した。また、in vivo広視野カルシウムイメージングによって、皮質領野間神経回路が生み出す神経活動を解析した。異なる軸索投射先や異なる視覚応答特性を示すニューロンを蛍光標識し、遺伝子発現解析を行うことで、皮質領野間神経回路を構成する神経細胞の細胞タイプの分類を現在進めている。 また、二光子顕微鏡観察により計測したマウス一次視覚野5層神経細胞のin vivo神経活動を解析し、自発神経活動のパターンと視覚応答特性が軸索投射先の異なる興奮性ニューロンの細胞タイプごと異なる特性を示すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな実験技術の導入および開発が順調に進展し、神経回路構造や神経活動を解析するための基盤が構築された。当初の予定通り、これら実験技術を用いた神経回路構造と神経活動の解析に研究段階が移行した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度確立した実験技術をベースに、研究計画の通り大脳新皮質の細胞タイプ特異的な神経回路構造と神経活動の解析を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗により次年度購入予定であったソフトウェアを今年度中に購入する必要が生じ、研究費の前倒し請求を行って購入したが、前倒し請求は10万円単位のため10万円未満の残額が生じた。次年度使用額は、次年度予算と合わせて研究機器等の購入に使用する。
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