2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K14841
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森本 桂子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40815429)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳発生 / 免疫細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経系と免疫系はともに多様性と特異性を兼ね備えた特殊なシステムであり、これらのクロストークは近年注目を集めている。これまでに脳内の主要な免疫細胞であるミクログリアが定常状態において神経回路の恒常性維持や、脳損傷・神経変性疾患といった病的状態において重要な機能を担っていることが明らかになっているが、脳発生における機能に関しての知見は限られている。本研究により脳発生期においてミクログリアはダイナミックにその局在および分布を変化させており、成体と比べてより活性化状態にあり、脳形成において重要な機能を有している可能性が示唆された。さらに、ミクログリアだけでなく、T細胞やB細胞などの獲得免疫系の細胞や顆粒細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞といった自然免疫系の細胞も発生期脳に存在することが明らかになった。また免疫細胞が産生する重要な分子が脳においても産生されていることが明らかになり、今後その発現細胞、機能などに関しても解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに発生期の脳においてもミクログリアが活性化しダイナミックに移動していること、顆粒球、樹状細胞といった自然免疫系の細胞に加えて、B細胞やT細胞といった獲得免疫系の細胞が存在することを明らかにしている。今年度新たに、免疫細胞が産生する重要な分子が発生期脳で発現していることを明らかにしており、その解析が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫細胞が発現しているある分子が発生期の脳でも発現していることを新たに見出しており、その発現細胞の同定、発現様式、機能などに関して解析を行う。具体的にはin situ ハイブリダイゼーションと蛍光免疫染色を組み合わせて発現細胞のサブタイプを同定する。さらにCRISPR-Cas9を用いてノックアウトマウスを作成し機能の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに使用したが、切片作成に用いるクライオスタットの故障により一部の実験が次年度にずれ込んだため次年度使用額が生じた。 翌年度、試薬など物品購入費として使用する予定である。
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