2020 Fiscal Year Research-status Report
新規三次元解析法による海馬神経ネットワーク形成におけるApc遺伝子の機能解明
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18K14843
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
尾之内 高慶 藤田医科大学, 共同利用研究設備サポートセンター, 講師 (20632954)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | APC / 海馬 / 神経ネットワーク / 光-電子相関顕微鏡法 |
Outline of Annual Research Achievements |
Adenomatous polyposis coli (Apc)遺伝子は、家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis: FAP)の原因遺伝子として発見された大腸癌抑制遺伝子である。APCには、様々なタンパク質が結合する。APCは、それら結合タンパク質との相互作用を通じて、細胞の増殖, 分化, 成熟, 移動, 接着, 極性形成に関与することが、培養細胞レベルの研究で明らかとなっている。APCは大腸のみならず脳にも多く発現しているが、脳におけるAPCの機能はよく分かっていない。本研究では、野生型APCマウスと癌抑制に関与しない1639番目以降のアミノ酸が欠損した変異APC(APC1638T)タンパク質を発現するAPC1638Tマウスの海馬神経ネットワークを調べて、海馬神経ネットワーク形成におけるAPCの機能を明らかにする。 2020年度は、2019年度に行えなかった、光-電子相関顕微鏡法(同一部位を共焦点レーザー顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察する方法)を用いて、野生型APCマウスとAPC1638Tマウスの海馬神経細胞の形態の違いを明らかにする実験を行った。 光-電子相関顕微鏡法で用いる抗APC抗体, 抗PSD-95抗体, 抗チューブリン抗体, 抗MAP2抗体, 抗ニューロフィラメントマーカー抗体の蛍光免疫染色の最適染色条件検討を行った。そして、4%パラホルムアルデヒド固定のパラフィン切片を対象とした蛍光免疫染色では、いずれの抗体も過熱処理による抗原賦活処理が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大のため、本学における講義および実習が遠隔方式に変更された。私は本学医学部や医療科学部の兼任教員でもあり、講義および実習資料をこれまでの対面用から遠隔用へと作り替える必要が出た。私にとって遠隔方式の講義および実習は初めての経験であり、講義および実習の準備に長時間かかってしまった。そのため、2020年度はほとんど研究活動を行えなかった。 また、2020年度初めは、遠隔研究打合せを行うための設備が整っていなかったので、学外の研究協力者と密な情報交換を行えなかったので、円滑に研究を進めることができなかった。 当初の予定では2020年度で本研究は終了であったが、研究期間内で研究目的を達成できなかったので、研究期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度の研究で明らかとなった光-電子相関顕微鏡法に最適な蛍光免疫染色条件を用いて、光-電子相関顕微鏡法で野生型APCマウスとAPC1638Tマウスの海馬神経細胞の形態の違いを明らかにする。 おそらく2021年度も2020年度と同様、本学における講義および実習は遠隔方式で行われる。2021年度の講義および実習の準備は2020年度のものを活用できるので、講義および実習の準備時間は2020年度より短くて済むと思われる。その分、2021年度は研究活動に時間を費やすことができると思われる。 また、遠隔で研究打合せを行う設備が整ったので、2021年度は新型コロナウイルス感染拡大が継続しても、研究協力者と遠隔で研究打合せを行うことができるので、円滑に研究を進めることができると思われる。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大影響で、研究以外の業務に長時間費やしてしまった。そのため、研究が大幅に遅れたので、予定通りに助成金を使うことができなかった。 2021年度は2020年度に行えなかった光-電子相関顕微鏡法の実施に必要な試薬を購入する。また、研究成果を学会や論文発表する予定である。
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