2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of phototriggered reactions using strained molecules
Project/Area Number |
18K14864
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三代 憲司 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (60776079)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は申請計画に基づきアミノシクロプロペノンを用いる光化学反応の開発を行った。カルボン酸、アミノシクロプロペノン共存下高照度の光(80W Hgランプ)を照射すると、カルボン酸とアミノシクロプロペノン由来の官能基が結合されたケトンを最大80%の収率で得ることができた。メカニズム解析により、本反応ではまずアミノシクロプロペノンから高反応性のイナミンが生成し、即座にカルボン酸と反応することによりアシロキシエナミンを形成、アシロキシエナミンが更に光励起によりホモリティックな開裂及び再結合を起こすFries転位様のメカニズムによってケトンが形成されることが分かった。本反応は基質が10mM程度の低濃度であっても、反応に要する時間は5-10分程度と迅速に完結する。アミノシクロプロペノンに予めアルキン構造を導入しておくことにより、本光反応を用いてカルボン酸にアルキン構造を導入することに成功した。アルキン構造を足掛かりに、アルキン-アジドClick反応を用いることで更に様々な官能基が導入可能であるため、本手法はカルボン酸の化学修飾法として有用であり、タンパク質中のカルボキシ基の化学修飾などにも応用できると期待できる。本研究成果はThe Journal of Organic Chemistry誌に掲載された(J. Org. Chem. 2018, 13595-13603)。 また光触媒を用いるシクロプロペノンの活性化に関しても計画通り成功しており、国内学会発表を行った。本成果に関しては国際誌に論文発表すべくデータの収集を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請にて当初計画していた光反応の開発に取り組み、計画通りに反応開発に成功した。また、反応中間体の単離、反応中間体の物性、反応性解析から、反応メカニズムの詳細を明らかにすることができた。本反応メカニズムが明らかになったことで、条件を調整することにより新たな化学反応の開発に繋げられる可能性を見出すことができたため、現在その新規反応開発にも取り組んでいる。本成果は国際誌への論文発表も行い、成果を広く発信することができた。 また、光触媒を用いる反応開発にも取り組み、研究成果を得ており、国内学会での発表を行った。本成果に関しては近日論文発表を行う予定である。 以上のように当初の計画通り研究の遂行、成果発表ができており、本申請研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画を行った反応開発に関しては順調に進展しているため、引き続き同様の方針で反応開発を行う。光触媒に関する反応ではまとまった知見が得られたため、データのより詳細な収集及び考察を行い、国際誌へ論文発表を行う。 また、光触媒に関する研究を行う中で、シクロプロペノン誘導体と光触媒の物性と反応性に重要な相関が見出されたため、今後はシクロプロペノン及び光触媒の構造と物性に関してより詳細な解析を行い、シクロプロペノンを用いる反応を触媒の力で自在に制御する方法の確立を目指して研究を行う。 また、シクロプロペノン誘導体を用いる光反応はタンパク質の化学修飾にも利用できることが期待できるため、その検討も行う。
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