2019 Fiscal Year Research-status Report
ジ置換アミノ酸を利用した新規ペプチドフォールドマーの設計と合成
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18K14870
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上田 篤志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (10732315)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジ置換アミノ酸 / ペプチド / 有機分子触媒 / 薬学 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ジ置換アミノ酸を導入したペプチドフォールドマーに関して、有機分子触媒としての構造と合成の簡素化を中心に研究を行った。対象となる反応として、マロン酸エステル類の環状α,β-不飽和ケトンに対する不斉マイケル付加反応を選択した。まず鍵となるジ置換アミノ酸である1-アミノシクロペンタンカルボン酸のペプチドへの導入数を一つまで減らし、その位置を検討した結果、N末端から3あるいは2残基目にある位置に良好な立体選択性を示した。その他の構成アミノ酸としてはロイシンを用いることで、わずか7残基からなるペプチドで97% eeの高い立体選択性を実現することに成功した。残基数が短いほど二次構造の制御が厳しくなる反面、触媒の合成が簡単になるため、機能性ペプチド開発には重要な知見となりうる。さらに溶媒を種々検討することで触媒量の削減に成功し、わずか5 mol %での触媒反応を実現した。有機分子触媒開発において触媒量の低容量化が難しいことが問題となることが多いが、その問題に対する一つのアプローチとなることが期待できる。続いてマロン酸ジイソプロピルと各種環サイズの異なる環状α,β-不飽和ケトンとの反応を検討した結果5員環、6員環、7員環のいずれの場合においても、98-99 % eeの高い立体選択性を得ることに成功した。小分子触媒での反応では基質のサイズが変わると立体選択性が低下することが問題となるが、この点に関してはペプチド二次構造の利点を活かした触媒開発が行えたといえ、今後のペプチド触媒設計における新たな指針が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書に記載した内容に従い各項目に関しての研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチド二次構造を安定化させる手法であるペプチド側鎖炭素架橋形成反応を、本研究にも取り入れるため、その立体選択性を調査する。また架橋の前後におけるX線結晶解析を行うことで、架橋前後での立体構造を調べることで架橋の効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の途中で派生した研究もあり次年度にその詳細について検討する必要が生じたため。当初計画と合わせて、次年度にその成果をまとめる。
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