2018 Fiscal Year Research-status Report
2型TNF受容体の選択的クラスタリング作用に基づく制御性T細胞の新規増幅法
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18K14877
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 雅己 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (80757097)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / イムノサイトカイン / TNFR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2型TNF受容体(TNFR2)シグナルを選択的かつ強力に活性化するため、独自に開発した「TNFR2アゴニストタンパク質」と「TNFR2に対する一本鎖抗体(scFv)」を融合した機能性イムノサイトカイン(Immuno-Cytokine, ICK)を創製し、TNFR2のシグナリング/クラスタリング作用に基づく制御性T細胞(Treg)選択的な新規増幅法の開発を目指すものである。Tregは免疫抑制機能に特化したリンパ球であり、自己免疫疾患や臓器移植の拒絶反応、移植片対宿主病(GvHD)において、末梢性Tregの量的増加による免疫寛容の強化を狙った治療法が期待されている。 本年度は、イムノサイトカインの創製を行った。はじめに、リガンドであるTNFと非競合的にTNFR2に結合する抗ヒトTNFR2-IgG抗体遺伝子を取得し、重鎖及び軽鎖の可変領域配列を用いて、抗TNFR2-scFv抗体遺伝子配列を作製した。続いて、申請者らが開発してきたヒトTNFR2アゴニストであるR2-7アゴニストタンパク質を一本鎖化構造修飾し、イムノサイトカイン用に構造を最適化したscR2-7アゴニストの遺伝子配列を作製した。これらの抗体とアゴニストがペプチドリンカーで直鎖状に融合するようにイムノサイトカイン(TNFR2-ICK)遺伝子を設計・合成し、発現ベクターに組み換えた。HEK293F細胞に遺伝子導入し、TNFR2-ICKタンパク質を発現させた後、アフィニティクロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーで精製した。電気泳動等での等からTNFR2-ICKが問題なく創製されたことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TNFR2-scFv抗体配列の取得、およびTNFR2アゴニストタンパク質の構造最適化を行い、当初の計画通り、両者を結合したイムノサイトカインを創製できた。
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Strategy for Future Research Activity |
TNFR2-ICKタンパク質の詳細なin vitro機能解析とin vivo薬理実験を行う。TNFR2結合性やシグナル伝達機構などのTNFR2-ICKの分子特性解析、Treg増幅活性の効率や選択性などの機能解析を行う。また、マウスでの体内動態を解析した後、リンパ球移入マウスを用いて、TNFR2-ICKの生体内でのTreg増幅活性を調べる。以上の解析から、Treg選択的な新規増幅法としてのTNFR2-ICKの有用性を検証していく。
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Causes of Carryover |
2018年度に参加した国際学会の旅費が当初の予定よりも低く抑えられたため、次年度使用額が生じた。繰り越し分は2019年度の研究計画を推進するための物品費として使用する。
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Research Products
(6 results)