2018 Fiscal Year Research-status Report
次世代型創薬化学研究を加速する未開拓分子群の触媒的不斉合成
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18K14878
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
野田 秀俊 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (40771738)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不斉触媒 / β-アミノ酸 / 含窒素複素環 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペプチドミメティクスとライゲーション反応の著しい発展に伴って,タンパク質エンジニアリングにおける精密有機合成化学の担う役割はますます大きなものになっている.各種ペプチドミメティクス単量体の中でも,β2-及びβ2,2-アミノ酸は,位置異性体であるβ3-アミノ酸と異なり対応するα-アミノ酸からの誘導が不可能であるため,多数の特長を有しながらも汎用されていない.本研究課題では容易に入手可能なイソキサゾリジンー5ーオンをβ-アミノ酸等価体として設定し,その多彩な反応性を活かすことで,上記合成素子の効率的な合成法開発を目指している.
2018年度は大きく2つの進展があった.以前までの報告ではイソキサゾリジンー5ーオンを事前に修飾し,不斉反応の基質とすることで高い不斉収率にて所望のアミノ酸類を取得していた.本年度は,この事前修飾を回避してCH結合を直接官能基化する触媒条件を見出すに至った.この成果により同様の条件下,反応剤を変えるのみでさまざまなβ2,2-アミノ酸の合成が可能であることを示すことができた.
もう1つの進展は基質の変換法に関するものである.これまでは反応成績体中のNO結合を,外部より化学量論量の還元剤を添加することにより切断していた.今年度はNO結合の切断を,分子内芳香族のCH結合の酸化と組み合わせることでレドックスニュートラルな分子変換を実現することができた.これによりこれまで合成例のほとんど存在しない環状β-アミノ酸類の効率的な合成法を開発することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の,1)基質の事前活性化を経ない触媒条件の開発,及び2)環状アミノ酸類の合成は申請書記載のマイルストーンにほぼ合致する.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に進展のあった2つの方向性について,1)触媒のチューニングによるさらなる基質適用範囲の拡充,2)異なる様式の分子内酸化反応と組み合わせることによる新規骨格の取得,を目指して検討を継続する.
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Causes of Carryover |
触媒条件の検討が予想以上に進展したため,触媒検討用に計上していた配位子購入費用が見積もりよりも少なくなった.一方で環化反応に最適な触媒は比較的高価であるため,前年度未使用分も金属触媒の購入費用にあてていく.
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