2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of highly sensitive quantitative system of cADPR for comprehensive evaluation of NAD-related metabolites
Project/Area Number |
18K14881
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 洋太郎 東北大学, 薬学研究科, 講師 (90420041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サイクリックADPリボース / ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド / 安定同位体 / 定量系 / ターゲットメタボロミクス / LC-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)主要代謝物であるサイクリックADPリボース(cADPR)は、オキシトシン放出、 インスリン分泌や、炎症反応、さらには幹細胞の自己複製など、様々な生命現象との関わりが指摘されている重要なメッセンジャー分子である。しかし、細胞内におけるcADPR は約10-100 ng/108 cellsと極微量であるため(Da Silva CP 1998)LC-MSやLC-MS/MSによる分析においては細胞内cADPRの定量に至っておらず、cADPRに関連する詳細な機序解析に応用できていない。本研究は、これまで極微量であるためにLC-MSで定量できていなかった細胞内cADPRに焦点を当て、LC-MSを用いたcADPRの高感度精密定量法の構築を主目的とする。 まず第一に、内部標準物質としてcADPRの安定同位体を合成した。既知のcADPRの合成法(Graham SM 2004、Liu W 2009)を参考に進めた。出発原料である Nicotinamide、Adenine、Methyl D-ribofuranoside を佐治木らの方法(Esaki H 2005、Esaki H 2006、Sawama Y 2012)で重水素を導入した。これら合成素子をグリコシル化、リン酸化することでNR→Adenosine、NMN→5’-AMPとそれぞれ変換した。これらをMichelson法(Bailey VC 1997)でリン酸部位のカップリングを行いNADとし、ADP-リボシルサイクラーゼで酵素的に閉環することでcADPR安定同位体の合成を達成した。 次に、得られた安定同位体を用いてLC分離条件およびMS検出条件の最適化を行い、cADPRの定量系を構築した。既報より1,000倍以上感度が上昇し、細胞内cADPRを定量するに十分な感度を達成した。
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