2018 Fiscal Year Research-status Report
プリンタ技術とナノテクノロジーの融合による革新的経肺 DDS 製剤の創出
Project/Area Number |
18K14885
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
佐藤 秀行 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (70739242)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ペプチド / 吸入剤 / プリンタ技術 / ナノ粒子 / 経肺 DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,抗体,タンパク,ペプチド及び核酸医薬品等,近年極めて重要性が高くなっているが注射等の侵襲的投与経路以外に有効な投与経路が存在していないバイオ医薬品に対する有効かつ安全な新規経肺DDS 製剤の戦略的開発を目的とする.粉末吸入製剤は,安全に自己投与可能な投与形態としてバイオ医薬品の DDS として非常に有用であるが,良好な吸入特性,肺における安定した薬物吸収には極めて厳格な粒子のサイズ・形状コントロールが必須であり,製剤開発を困難なものとしている.本研究課題はこれらの課題を同時に克服すべく,最新のプリンタ技術とナノテクノロジーを薬剤科学分野の技術と融合,発展的に応用し,革新的経肺DDS 製剤の開発を試みた. 初年度は新規ナノ粒子調製技術である Multi inlet vortex mixer (MIVM) の戦略的応用によってペプチド性医薬品封入新規ナノ粒子の開発を中心に検討を実施した.その結果,難水溶性ペプチドである Cyclosporine A (CsA) についてその物性を効果的に改善可能な処方を見出した.特に,Polyethylene glycol や Poly acrylic acid 等によって表面コートを施したナノ粒子においては粒子の粘膜中動態制御が可能であり,今後の薬物動態制御への発展的応用が期待できる.更に,プリンタ技術を応用した Fine droplet drying 工法ではペプチド性医薬品であるSalmon calcitonin を生分解性徐放性ポリマーである PLGA 中に高効率で封入することに成功し,経肺的投与による全身作用を指向した徐放性吸入用微粒子設計に成功した.次年度は,機能性ナノ粒子と FDD 工法を組み合わせることで革新的吸入剤設計を試みる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MIVM system の応用による機能性ナノ粒子の開発,FDD 工法の吸入用微粒子設計技術としての有用性評価を達成しており,今後の発展に必要となる根幹技術については初年度中に確立している.
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度における検討にて,いくつかの機能性ポリマーによるナノ粒子被覆を確認しているが,ナノ粒子のさらなる表面物性解析と処方の最適化を追加で実施よていである.検討の中で,肺内滞留性の高い機能,物性を有する粒子を見極め,今後の吸入用微粒子設計に対して応用していく.FDD 工法にて使用する基剤選定や吸入製剤の網羅的評価法についても並行して検討予定である.
|
Causes of Carryover |
初年度中の検討予定であった一部の製剤に関する処方最適化検討が実施できていないため,検討に使用予定であった製剤添加剤・試薬類を購入しなかったため若干の差額が生じている.これらの検討については本年度,この差額を使用して速やかに実施予定である.
|
Research Products
(13 results)