2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of spheronization mechanism of pharmaceutical drug crystals via mechanical powder processing
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18K14890
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| Research Institution | Meijo University |
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Principal Investigator |
近藤 啓太 名城大学, 薬学部, 助教 (90710913)
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2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 乾式複合化 / 造粒 / 球形化 / 非晶質化 / 粘着性 / 弾性率 / ガラス転移 / 再結晶化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の検討で明らかにした，機械的せん断処理によるインドメタシン（IMC）結晶の非晶質化と球形化の関係について，造粒・球形化メカニズムを解明するため，IMC非晶質体の各温度での物理的特性を評価した．IMC結晶のメルトクエンチ品を作製し，粘着特性および機械的性質を試験した．非晶質体の粘着性は45℃以上で生じ始め，温度上昇とともに指数関数的に増大した．機械的処理して製した試料のDSCで測定したガラス転移温度（Tg）は，40℃前後であったことから，非晶質体がTgを超えることで過冷却液体に変化することで粘着性を示した．これにより機械的処理によりIMC結晶の造粒が起こったと考えられる．一方で，温度上昇とともに表面結晶化傾向が強くなるため，非晶質体の粘着性が増大しても造粒しなかった．非晶質体の見かけの弾性率を測定した．弾性率は温度とともにわずかに低下したが，60℃を超えると急激に低下した．一般には，非晶質体はTgを超えると過冷却液体となることから弾性が急激に低下すると考えられるが，この結果はTgの20℃以上の温度で弾性が急激に低下することを示している．これはTg付近での非晶質体の粘度が非常に高いが，温度とともに非線形的に低下することで，60℃付近で半固形状になるためである．この機械的性質の変化は機械的処理によるIMC結晶の粒子表面の降伏による球形化と一致している．これらの現象の普遍性を確認するため，ニフェジピン（NIF）結晶の機械的処理を検討した．NIF結晶はIMC結晶と同様に機械的処理により非晶質化したが，Tg（約45℃）以下では造粒や球形化は起こらなかった．Tgを超えて温度が上がるにつれて造粒の傾向が強くなったが，結晶化温度（約98℃）に近づくにつれて造粒しにくくなった．一方で，粒子表面の球形化が顕著になった．これはIMC結晶の機械的処理による造粒・球形化現象と同様の傾向であった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度では，機械的せん断処理によるインドメタシン（IMC）結晶の非晶質化と球形化の関係について明らかにした．令和元年度では，機械的処理によるIMC結晶の造粒・球形化にはIMC非晶質体の粘着性および機械的性質の変化が直接関係していることを解明した．さらに，ニフェジピン結晶を用いた検討では，IMC結晶と同様に機械的処理によって造粒・球形化を起こすことが示され，機械的処理により生じた非晶質体のガラス転移による物性変化および再結晶化によって，造粒・球形化の程度が変化することを明らかにした．これにより，非晶質化による造粒・球形化はIMC結晶以外の多くの薬物結晶で起こりうる現象であることが示された．以上より，現在までおおむね順調に研究が進展していると考えられる．
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| Strategy for Future Research Activity |
令和2年度では，現在までの検討で十分に解明できていない機械的処理により生じた非晶質体の再結晶化を詳細に評価し，非晶質体の存在時間などを明らかにする．ホットステージ付きラマン顕微鏡や温度変調DSCを利用した非晶質体の等温結晶化実験を行うことで，結晶化速度等の解析を行う．これらの実験は現有の設備のみで行うことは困難であるため，国外の大学との国際共同研究により遂行する．これと同時に，機械的処理による薬物結晶の造粒・球形化の製薬産業への適用を目指し，汎用装置による検討を行う．現在は乾式複合化装置による実験を行っているが，この装置の医薬品製造への適用は限定されている．そのため，医薬品製造で汎用されている高速攪拌造粒機などを用いて，非晶質化を利用した造粒・球形化の手法を検討する新たな研究課題に取り組む．
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| Causes of Carryover |
共同研究の立ち上げに伴う事前調査のため３月にデンマークに渡航する予定であったが，新型コロナ感染症の感染拡大で海外渡航が禁止されたことで次年度使用が生じた．海外渡航の制限解除後に，延期になった事前調査を行うための旅費として使用する計画である．
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