2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of a previously unknown mode of interaction between antibody and Fc receptor toward development of novel strategies for antibody engineering
Project/Area Number |
18K14892
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
谷中 冴子 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (80722777)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫グロブリンG (IgG) / Fc受容体 / MDシミュレーション / 核磁気共鳴法 / 中性子溶液散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)をはじめとする種々の実験的観測手法と分子動力学(MD)シミュレーションを用いてIgG抗体とFcγ受容体(FcγR)の相互作用の実態解明に取り組んだ。ヒトIgG1のFc領域について、MDシミュレーションにより溶液中での3次元構造空間を探査した。そして、核磁気共鳴と溶液散乱の計測を通じて得られた実験データと照らし合わせることにより、MDシミュレーションの結果の妥当性を検証した。シミュレーションにより得られたFcの3次元構造アンサンブルを解析した結果、Fcに結合しているN型糖鎖のフコース残基によってFcγR との相互作用に関わるチロシン残基の配向が規定されていることが明確となった。また、N型糖鎖はFcのコンフォメーション空間に適切な制限を加えることでFcγRとの親和性を制御している可能性が示された。さらに、HS-AFMを用いてヒトFcγRⅢaと種々のIgG1の相互作用について1分子レベルでの観測と定量解析を実施した。その結果、いずれのIgG1においても全長分子はFcに比べてFcγRⅢaとの結合能が有意に高いことが明らかとなり、IgGのFab領域がFcγRⅢaとの相互作用に寄与していることが示唆された。さらに水素重水素交換質量分析により、FcγRⅢaとIgG1の相互作用部位の同定を試みた結果、これまで明らかにされているFc領域とFcγRⅢa の相互作用に加え、IgG1のFab領域 とFcγRⅢaのD1ドメインとの間の新規な相互作用を捉えることができた。 本研究全体を通じ、IgG1分子中のFcγRⅢaとの新規相互作用部位が明らかとなった。ここに改変を施すことで、受容体結合能を増強させた高機能IgG抗体の開発が促進されるものと期待される。
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Research Products
(14 results)