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2018 Fiscal Year Research-status Report

活性イオウ分子による新たな還元ストレス/レドックス制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 18K14895
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

秋山 雅博  筑波大学, 医学医療系, 助教 (60754570)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2020-03-31
Keywords活性イオウ分子 / 還元ストレス
Outline of Annual Research Achievements

活性イオウ分子(Reactive sulfur species, RSS)は, 高い抗酸化性/求核性を有し, 酸化/親電子ストレス制御に重要な役割を担いる事を報告してきた. 一方、生体内での過剰な抗酸化物質の蓄積はレドックスバランスを乱し, 疾患リスクを高める報告がなされており, 酸化ストレスに対し還元ストレスという概念が近年提唱されている. 以上を統合すると, RSSの生体内量は、厳密に制御されており, その破綻は健康リスクを高めると考えられた. そこで本研究は, 生体内RSS量の制御機構と, その破綻による生体影響を検討した. 本研究では生体内RSS量を変化させるために, RSS産生酵素のひとつであるCystathionine γ-lyase (CSE)を高発現させたマウスとCSEの基質含有量を調整した飼料を用いた.
CSE高発現マウスは, 各臓器で高いCSE発現を示したにもかかわらず, 臓器中のRSS量は野生型と比べ, 有意な変化は見られなかった. 生体でも余剰のRSSが臓器外へ放出されていると考え, 臓器外である血漿中のRSS量を測定した. その結果、野生型と比べ, CSE高発現マウスで有意なRSS量の増加が認められた. CSEの基質であるシスチンを高含有するエサをCSE高発現マウスに与えた結果, 血漿中での過剰なRSS量の増加に伴い, 肝臓や筋肉量の減少が見られ, 投与後3週間以内に全てのマウスが死亡した. これらの結果より, 高い求核性を持つRSSは, 細胞内に高濃度蓄積するとレドックスバランスが還元に傾き毒性を示すことが明らかになった. さらに, 生体は余剰なRSSによる細胞内の還元ストレスを回避するために, 細胞外へと積極的に放出する輸送システムを有していることが示唆された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画通り, 活性イオウ分子の産生酵素のひとつであるCystathionine γ-lyase (CSE)を高発現させたマウスとCSEの基質含有量を調整した飼料を用いる事で生体内活性イオウ分子の量を変化させる事に成功した. さらに, 当マウスモデルを用いて, 高い求核性を持つ活性イオウ分子の 蓄積がレドックスバランスを崩し, 健康リスクを高めることを証明することができた. これらの結果より, 本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると考えた.

Strategy for Future Research Activity

今後は, 活性イオウ分子の排出トランスポーターを同定し、その発現量がレドックスバランスの維持に寄与しているかを明らかにする. 研究方法として, 活性イオウ分子を排出するトランスポーターは細胞内の活性イオウ分子量に依存して発現量が変化する可能性が高い. そこで, 細胞内活性イオウ分子量を増加させた際に上昇を示すトランスポーター群をマイクロアレイ解析にて探索する. また, 候補トランスポーターをアフリカツメガエルの卵母細胞に発現させ, マイクロインジェクターにて活性イオウ分子を卵母細胞に注入し, RSSが細胞外へ放出されるか否かを判断する. アフリカツメガエルの卵母細胞は膜タンパク質の発現性に優れ, 細胞の巨大さから, 基質の注入も容易であるため, トランスポーターの機能評価に最適な実験系であると考える.

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 活性イオウ分子による還元ストレスのリスクとその制御機構2018

    • Author(s)
      秋山雅博
    • Organizer
      酸化ストレス学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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