2018 Fiscal Year Research-status Report
日本脳炎ウイルスの感染に関わる宿主因子のゲノムワイド探索およびその機能解析
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18K14912
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
佐久間 智理 国立感染症研究所, 細胞化学部, 研究員 (80782888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本脳炎ウイルス / ゲノムワイドスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は日本脳炎ウイルスの感染に関わる宿主因子の網羅的な同定および機能の解明を目的としている。遺伝子のノックアウトまたは過剰発現により日本脳炎ウイルスに耐性を示す宿主因子を同定することを目指して、CRISPR/CAS9システムによる遺伝子ノックアウト系およびCRISPR/CAS9システムの変法であるCRISPR/dCAS9システムによる遺伝子発現活性化系を使用したゲノムワイドスクリーニングを行った。日本脳炎ウイルス感染後の細胞の生死という簡便な指標を用いて、日本脳炎ウイルスのライフサイクルに必要とされる宿主因子および同ウイルスの感染に抵抗性を示す抗ウイルス作用をもった宿主因子の網羅的な単離を狙った。 遺伝子ノックアウト系スクリーニングではCAS9を発現させたHuh7.5.1-8細胞を親株とし、遺伝子発現活性化系スクリーニングではMS2-p65-HSF1融合タンパク質を発現させたHuh7.5.1-8細胞を親株とした。これらの親株にレンチウイルスベクターを用いて遺伝子ノックアウト系および遺伝子発現活性化系それぞれのsingle guide RNA (sgRNA)ライブラリーを導入した。これらのsgRNA導入細胞群についてライブラリーのバリエーションが保持されていることを確認した。 また、日本脳炎ウイルス感染後の細胞の生死という指標をもちいてゲノムワイドスクリーニングを行うにあたってウイルス感染のスケジュール等の条件検討を行い、スクリーニングに適したプロトコルを作成しゲノムワイドスクリーニングを行う準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属部にて単離されたウイルス増殖能の高いヒト肝がん細胞株亜株Huh7.5.1-8細胞にCAS9を発現させ、その中から日本脳炎ウイルスへの感受性を維持しており、かつゲノム編集活性が高いクローンを選定して遺伝子ノックアウト系スクリーニングの親株として使用することとした。sgRNAライブラリーはFeng Chang研究室が作成したGeCKO v2.0ライブラリー(Science 343; 83-87(2014))を使用した。遺伝子発現活性化系スクリーニングの親株としてはMS2-p65-HSF1融合タンパク質を発現させたIFNAR1・IFNLR1ダブルノックアウトHuh7.5.1-8細胞を作成済みであり、sgRNAライブラリーはFeng Chang研究室が作成したSAMライブラリー(Nature 517; 583-588 (2014))を使用した。2種類の系のsgRNAライブラリーはプラスミドの状態で入手し、パッケージング細胞である293FT細胞株を用いてレンチウイルスライブラリーを作成し、薬剤耐性を指標にしてsgRNAが導入された細胞群のみを選択した。このようにして得られたゲノムワイドな遺伝子ノックアウトおよび発現活性化細胞群からゲノムDNAを精製し、ゲノムに挿入されたsgRNAを次世代シーケンサーを用いて解読したところライブラリーのバリエーションが保持されていることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞密度やウイルス力価、感染スケジュール等の条件検討を行い、日本脳炎ウイルス耐性遺伝子のスクリーニングに適したプロトコルを作成することができた。このプロトコルに沿ってゲノムワイドな遺伝子ノックアウトおよび発現活性化細胞群に日本脳炎ウイルスを感染させ、ウイルス感染による細胞死に耐性を示した細胞群を回収する。ゲノムに挿入されたsgRNAをPCRにより増幅し、次世代シーケンサーを用いて解読する。日本脳炎ウイルス感染なしのコントロールも同時に解析を行う。コントロールよりも過剰に検出されたsgRNAを日本脳炎ウイルスの感染に関わる遺伝子の候補とする。
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Causes of Carryover |
条件検討が予定していたよりもスムーズにでき、試薬などが当初の購入予定よりも少なくてすんだため。
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